自己破産
2025.07.23 ー 2025.07.23 更新
自己破産を検討する際、お持ちのクレジットカードがどうなるのか、以下のような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
・クレジットカードがいつから使えなくなるのか知りたい・自己破産後に新しいカードを作れるのか知りたい・カードがなくても不便なく生活できるのか知りたい
結論から言うと、弁護士がカード会社へ「自己破産手続きを始めます」という通知を送り、受領された時点からクレジットカードは使えなくなります。しかし、一定期間が経過すれば再びカードを作れるほか、代替の決済手段を利用すれば不便なく生活できます。
今回は、自己破産がクレジットカードに与える影響、利用停止になる具体的なタイミングや流れ、そしてカードが使えなくなった後の決済手段について詳しく解説します。
自己破産を考えている方や、その際のクレジットカードの扱いに不安がある方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
こんな人におすすめの記事です。
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自己破産手続きを進めると、クレジットカードは以下の順番で段階的に制限されていきます。
自己破産によりカードが利用停止になるほか、信用情報にも大きな影響が出ます。支払い方法の変更や、信用回復までの計画を事前に立てておくことが大切です。
自己破産手続きを弁護士に依頼した後、クレジットカードは負債の有無によって利用停止になるタイミングが異なります。
負債のあるクレジットカードは、弁護士から各カード会社へ受任通知が送付されます。受任通知とは弁護士や司法書士が、自己破産の依頼を受けたことを債権者に通知する書類のことです。
受任通知を受け取ったカード会社は会員資格を取り消し、クレジットカードは強制的に解約されて使えなくなります。
一方、負債のないカード会社には受任通知が送られないため、この段階ではすぐに利用停止になりません。
ただし、カード会社は定期的に信用情報を確認しています。他社での事故情報(弁護士介入)を発見次第、利用停止となるため、通常は数週間から数ヶ月以内に利用できなくなります。
負債のないクレジットカードは受任通知後すぐ利用停止にはなりませんが、利用は控えましょう。「返済する意思がないのに借金をした」と見なされ、自己破産の目的である借金の免責が認められなくなったり、詐欺罪が成立したりするおそれがあります。
たとえ100円のコンビニ決済でも、利用は禁物です。定期購読サービスの自動引き落としも、事前に解約手続きを済ませておきましょう。
裁判所に自己破産の申立てが認められ、「破産手続開始決定」が出ると、その情報が信用情報機関に登録されます。
カード会社の定期的な信用チェック(途上与信)で必ず検知されるため、受任通知の段階で利用停止になっていなかったクレジットカードを含め、全て利用できなくなります。
年会費無料で長期間使っていないカードや、ETCカード単体で契約していたカードなども、破産手続開始決定後には使えなくなるでしょう。
自己破産を申し立て、裁判所から借金の支払いを免除する「免責許可決定」が確定するまでの期間は、新規のクレジットカードを作成できなくなります。
信用情報機関に事故情報が登録されるため、どの金融機関に申し込んでも高い確率で審査に通らないでしょう。
なお、免責が確定してもすぐに事故情報が消えるわけではなく、5年〜7年程度は記録が残ります。記録が消えるまでの期間は、引き続きクレジットカードの作成やローン契約が難しい状況が続くと考えておきましょう。
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自己破産後にクレジットカードを再発行するために、以下のような仕組みやコツを理解しておきましょう。
事故情報の登録期間や社内ブラックの影響を踏まえ、スマートフォンの分割払いや家賃の支払いで信用実績を積み上げることが、カード再発行の成功率を高めるポイントです。
自己破産の事故情報は、CICとJICCで最長5年間、KSCで最長7年間登録され、この期間中は新規のクレジットカードの発行が非常に困難です。
全ての信用情報機関から事故情報が消えるまでには最長7年かかるため、カード再取得は自己破産後5〜7年が目安となります。
信用情報機関別の事故情報の登録期間を詳しく見てみましょう。
※KSCの登録期間は2022年11月に10年から7年に短縮
なお、実際には「ブラックリスト」という名簿は存在せず、信用情報機関に事故情報が登録されている状態を指す一般的な呼称です。
信用情報から事故情報が消えても、すぐに審査に通るわけではありません。主な理由として「社内ブラック」と「クレジットヒストリーの空白」の2つが挙げられます。
1つ目は「社内ブラック」です。過去に自己破産で債務を免除された金融機関では、その情報が信用情報機関の登録期間を超えても保管されている可能性があります。
そのため、自己破産で免責となったクレジットカード会社の審査には、事故情報が消えても通らない可能性が高いでしょう。
2つ目は、過去の利用履歴(クレジットヒストリー)がない状態になることです。事故情報が消えた直後の信用情報は、カードやローンの利用履歴が何もない、真っ白な状態(通称:スーパーホワイト)になります。
カード会社は審査の際に過去の利用履歴を確認するため、履歴が全くないと「過去に返済トラブルがあったのではないか?」と推測され、審査に通りにくくなることがあるでしょう。
次の項目で、信用実績を改善する方法を解説します。
クレジットカードの再発行を早めるコツは、地道に信用実績を積み上げることです。信用情報が回復した後、スムーズに審査を通過するためには、新たなクレジットヒストリーを作る必要があります。
効果的なクレジットヒストリーの構築方法は以下の通りです。
特に効果的なのが、スマートフォンの分割払いです。10万円以下の端末なら、比較的審査に通りやすい傾向があります。クレジットカード再発行時の注意点も押さえておきましょう。
着実に信用を積み重ねることが、クレジットカード再発行への近道です。
自己破産後の日常的な支払いや旅行時の決済手段には、以下のような方法があります。
自己破産後も、クレジットカード以外の代替手段を組み合わせれば、日常生活や旅行などで支障なく決済が可能です。事前に適切な方法を選び、トラブルを避けましょう。
デビットカードとプリペイドカードは、どちらも基本的に審査不要で自己破産直後から即日発行可能なカードです。
デビットカードは銀行口座から即時引き落とし、プリペイドカードは事前チャージ制という違いがありますが、いずれもクレジットカードとほぼ同じように使えます。それぞれの特徴を比較してみましょう。
デビットカードの利点は、銀行口座と直結しているため残高管理がしやすいことです。使いすぎを防げるため、金銭管理の習慣づけにも役立ちます。
プリペイドカードは、より手軽に始められる選択肢です。コンビニで購入できるものも多く、銀行口座を持っていない人でも利用できます。
d払い、au PAY、ソフトバンクまとめて支払いなどのキャリア決済は、携帯電話会社独自の基準で利用可否を判断しているため、自己破産後も継続して利用できます。
ただし、利用を続けるためには、以下の条件を満たしていることが前提となります。
また、自己破産後はクレジットカードとの連携ができなくなるため、支払い方法を口座引き落としに変更する必要があるでしょう。
自己破産手続き中にキャリア決済を利用すると、特定の会社にだけ返済したと見なされ、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と判断されるリスクがあります。
自己破産では、すべての債権者(お金を貸した側)を平等に扱うことが原則とされており、偏頗弁済はこの原則に反します。偏頗弁済に該当すると免責が認められないおそれがあるため、手続き中のキャリア決済利用には十分な注意が必要です。
キャリア決済の利用が「特定の会社だけを優先した不公平な支払い」と判断されると、弁護士(破産管財人)がその金額を携帯電話会社から回収することがあります。回収された代金は、債権者全員に公平に配分するための資金として用いられます。
スムーズに手続きを進めるためにも、弁護士に依頼した後のキャリア決済は利用しないようにしましょう。
ETCはデポジット制の「ETCパーソナルカード」、交通系ICは現金チャージ、公共料金は口座振替やデビットカードで代替できます。
クレジットカードが使えなくなっても、これらの方法を活用すれば日常生活にほとんど支障はありません。
ETCパーソナルカードは、クレジットカード不要で作れるETCカードです。利用にあたっては、あらかじめ保証金(デポジット)を預ける必要があります。
デポジットは、月々の利用料金の支払いを保証するための預かり金で、解約時には未払料金を差し引いた残額が返金されます。平均利用額に応じたデポジット額と年会費は以下の通りです。
出典:NEXCO西日本
デポジットは平均利用月額の4倍の金額を預ける必要があります。年会費は利用額にかかわらず一律1,257円(税込)です。
交通系ICカード(Suica、PASMOなど)は、現金チャージで問題なく利用できます。
なお、オートチャージはクレジットカードが必要なため利用できませんが、駅の券売機やコンビニでチャージが可能です。
公共料金やスマートフォンの通話料金、インターネット料金の支払い方法の変更も忘れずに行いましょう。
公共料金の多くは口座振替や払込書(コンビニ等)での支払いが可能です。デビットカード払いは一部の事業者でのみ対応しています。
クレジットカードがなくても、デビットカードなどの代替手段を組み合わせれば、海外旅行やホテルの予約、レンタカーも問題なく利用できるでしょう。
海外での決済は、国際ブランド付きデビットカードが利用できます。VisaやMastercardのマークがあれば、世界中のATMで現地通貨を引き出すことも可能です。
ホテルの予約については、予約サイト経由のデビットカード事前決済や、旅行代理店経由の事前支払いが利用できます。
大手レンタカー会社はクレジットカード必須のケースが多く見られますが、現金・デビットカード対応の会社・店舗もあります。利用する際は、利用可能な支払い手段を事前に確認しておきましょう。
これらの手段をうまく利用すれば、自己破産後でもレジャーを楽しめます。
自己破産とクレジットカードに関するよくある質問に回答します。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
例えば、夫が自己破産した場合でも、妻本人名義のカードなら問題なく使えます。信用情報は個人単位で管理されるため、配偶者の自己破産は影響しません。
ただしこの場合、夫が本会員の家族カードは使えなくなります。
また、妻のカードを夫が使うのは避けましょう。名義貸しと見なされ、カード会社の規約違反に抵触するおそれがあります。
二度目の自己破産後でも、一定期間が経過すればクレジットカードを作れる可能性があります。
クレジットカードの再発行が可能になる期間の目安は、一度目の自己破産時と同様、免責許可決定から5年〜7年が経過した後です。ただし、二度目の自己破産をするには、一度目から原則7年経過している必要があります。
自己破産の情報が官報に掲載されても、勤務先に知られる可能性は極めて低いでしょう。官報を日常的にチェックしているのは、金融機関や公務員など限られた職種のみと考えられるためです。
また、2025年4月1日に施行された「官報の発行に関する法律」によりインターネットでの公開ルールが変わり、個人のプライバシー保護が強化されています。
このような理由から、官報掲載によって自己破産したことを勤務先に知られる可能性は低いと言えます。
デビットカードは即時引き落としの形式のため、金融機関に貸し倒れや債権回収不能のリスクがなく、与信審査がないことが多いです。そのため、審査に通らないケースは極めて少ないといえます。
ただし、自己破産の対象となった銀行やそのグループ会社内では、事故情報が「社内ブラック」として記録されているため、新たに口座を開くことが困難になります。
社内ブラックにより口座開設を断られた場合は、別の銀行を選びましょう。
本記事では、自己破産とクレジットカードの関係について解説しました。最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。
自己破産後のお金の使い方は、借金問題を解決し、健全な金銭感覚を取り戻しながら生活を再建するための重要なポイントです。
デビットカードやキャリア決済などを賢く活用し、新しい生活への一歩を踏み出してみてください。
この記事の監修者
株式会社WEBYの債務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に債務整理の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。
この記事に関係するよくある質問
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