債務整理
2025.12.29 ー 2025.12.29 更新
債務整理を検討している方の多くが「連帯保証人に迷惑をかけてしまうのでは」と不安に感じているのではないでしょうか。大切な人に心配をかけたくない、関係を壊したくない……そう考えるのは当然のことです。
確かに、債務整理の種類によって連帯保証人への影響が大きく変わります。しかし、あらかじめ適切な知識と対策を知っておけば、その影響を最小限に抑えたり、回避できる場合もあります。
この記事では、債務整理が連帯保証人に与える影響を手続き別にわかりやすく解説し、家族や友人との関係を守るための現実的な対処法を紹介します。あなたと保証人の双方にとって最適な解決策を一緒に見つけていきましょう。
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債務整理を検討する際、まず気になるのが「連帯保証人への影響」ではないでしょうか。
ここでは、債務整理の種類ごとに、連帯保証人にどのような影響が及ぶのかを解説します。任意整理、個人再生、自己破産のそれぞれの手続きでどのように異なるのかを見ていきましょう。
債務整理を行うと、主債務者は「期限の利益」を失います。
期限の利益とは、約束した期日まで支払いを延ばしてもらえる権利のことです。例えば、住宅ローンを30年間で分割払いできるのも、この期限の利益があるからです。
しかし、債務整理の手続きを開始すると、債務者はこの期限の利益を失ってしまいます。
本来なら月々少しずつ返済すればよかった借金が、突然「今すぐ残りの全額を支払ってください」という状況に一変するのです。
そして、この影響は連帯保証人にも及びます。連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負うため、主債務者が期限の利益を失うと、連帯保証人も同時に一括請求の対象となってしまうのです。
つまり、債権者は連帯保証人に対して残債務の全額を一括で請求できるようになります。
この影響の大きさは、選択する債務整理の方法によって大きく異なります。
任意整理は、連帯保証人への影響を最小限に抑えたり、あるいは完全に避けることができる唯一の債務整理方法です。
なぜなら、任意整理では「どの借金を整理するか」を自分で選択できるからです。
具体的には、連帯保証人が付いている借金については任意整理の対象から除外し、保証人がついていない借金のみを整理することが可能です。
例えば、住宅ローン(保証人あり)はそのまま返済を続け、クレジットカードの借金(保証人なし)のみを任意整理の対象とすれば、住宅ローンの連帯保証人には一切影響が及びません。
この方法を取ることで、保証人付き債務の返済を続けながら、他の借金の利息カットや返済期間の延長などで月々の負担を軽減できます。
ただし、保証人付き借金自体が主な返済負担となっている場合や、他の借金の整理だけでは十分な負担軽減が得られない場合は、任意整理だけでは根本的な解決にならない可能性があります。
個人再生を選択した場合、連帯保証人への影響は避けられません。なぜなら、個人再生は原則としてすべての借金を手続きの対象とするため、特定の借金だけを除外することができないからです。
個人再生では債務者本人の借金が大幅に減額されますが、この減額の恩恵を受けるのはあくまで債務者本人のみです。連帯保証人の返済義務は減額されず、元の借金全額を支払う責任が残ります。
例えば、債務者が500万円の借金を100万円に減額されても、連帯保証人は元の500万円の返済義務を負い続けます。
さらに、個人再生の手続き開始により期限の利益を失うため、債権者は連帯保証人に対して残債務の全額を一括請求できるようになります。
このように、個人再生は債務者本人に大きなメリットがある一方で、連帯保証人にとっては大きな負担をもたらすリスクがあります。
個人再生を検討する際は、事前に連帯保証人とよく話し合い、弁護士など専門家を交えて対応を検討することが不可欠です。
自己破産は、連帯保証人に最も大きな影響を与える債務整理の手続きです。
債務者本人は裁判所の免責決定によって返済義務がすべて免除されますが、その一方で、連帯保証人の返済義務は一切軽減されません。
債務者が免責を受けた瞬間から、債権者は連帯保証人に対して残った借金の全額を請求することになります。
例えば、1000万円の借金について自己破産をした場合、債務者本人の返済義務は0円になりますが、連帯保証人には1000万円の返済義務がそのまま残ります。
深刻なのは、多額の借金を一括で請求されることで、連帯保証人の生活が破綻するおそれがあることです。
結果として、連帯保証人自身も自己破産や個人再生などを検討せざるを得なくなるケースも少なくありません。
このような重大な影響を避けるためにも、自己破産を検討する際は、必ず事前に連帯保証人に相談し、その後の対応策について話し合う必要があります。
ここまで見てきたように、債務整理の方法によって連帯保証人への影響は大きく異なります。以下の表で違いを確認しておきましょう。
【債務整理の種類別、連帯保証人への影響】
手続き選択の影響は自分だけの問題ではないため、連帯保証人には事前に相談し、最善の方法を専門家とともに検討することが大切です。
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保証人と連帯保証人は、どちらも借金の返済義務を負う点で同じですが、その責任の重さには大きな違いがあります。
特に連帯保証人は、債務者本人と同等の非常に重い責任を負うため注意が必要です。
ここでは、その決定的な違いである「まず債務者に請求して」と言える権利の有無と、債務者と同じ返済義務について見ていきましょう。
通常の保証人には、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」という2つの重要な権利が法律で認められています。
これらの権利により、保証人は債権者からの請求に対して一定の時間稼ぎや交渉の余地を持つことができます。
最終的には保証責任を免れることはできませんが、連帯保証人と比べて負担はかなり軽くなります。
一方、連帯保証人には「催告の抗弁権」も「検索の抗弁権」も認められていません。
債権者は債務者本人に一度も請求することなく、いきなり連帯保証人に対して全額の返済を求めることが可能です。
連帯保証人の責任範囲は債務者本人と全く同じです。元本だけでなく利息、遅延損害金、さらには債権者が債務回収のためにかかった費用まで、すべて連帯保証人が負担する義務を負います。
債務者が自己破産などで返済義務を免れたとしても、連帯保証人の責任だけは残り続けるという、非常に厳しい仕組みです。
ここまでの説明を整理すると、保証人と連帯保証人の権利や責任の違いが明確になります。以下の表で確認しておきましょう。
【保証人と連帯保証人の違い】
連帯保証人は債務者本人と同等の責任を負うため、債務整理の際には十分注意し、事前に対策を講じることが重要です。
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連帯保証人に迷惑をかけたくないという不安は当然ですが、適切な方法を選択し、順序立てて進めれば、その影響を最小限に抑えることは十分可能です。
ここでは、保証人付き債務を整理対象から外す方法、事前に保証人と話し合う重要性、そして保証人の返済能力を考慮した手続き選択の3つの実践方法を解説します。
任意整理であれば、整理する債権者を自由に選択できるという大きなメリットがあります。
連帯保証人が付いている借入については整理対象から除外し、保証人なしの債務のみを対象とすることで、連帯保証人への直接的な影響を完全に回避できるのです。
例えば、保証人付きの消費者金融1社を除く4社のみを任意整理の対象とすると、連帯保証人には一切の請求が行かず、債務者本人も4社分の返済負担を大幅に軽減できます。
ただし、保証人付き債務の返済計画をしっかりと立て、確実に返済を継続することが重要です。
連帯保証人への影響を最小限に抑える最も効果的な方法の一つが、事前の話し合いと共同での債務整理です。
多くの方が「保証人に迷惑をかけたくない」と一人で悩みますが、返済が困難になった時点で、早期に保証人に相談することで、共同での解決策を見つけることができます。
話し合いの際は、現在の債務状況、収入状況、今後の返済見通しを正直に伝え、保証人の理解と協力を得ることが重要です。
債務整理の手続きを選択する際は、債務者本人の状況だけでなく、連帯保証人の経済状況も十分に考慮することが必要です。
保証人の収入や資産状況、既存の債務などを踏まえて、保証人が対応可能な範囲内での解決策を模索することが、長期的な成功につながります。
例えば、保証人に安定した収入がある場合は、減額された債務を保証人と分担して返済する計画を立てることも可能です。
月々3万円の返済が必要な場合、債務者本人が2万円、保証人が1万円といった具合に、双方の負担能力に応じて分担することで、無理のない返済が可能になります。
重要なのは、保証人の状況を無視した一方的な判断を避けることです。債務整理は複雑な手続きであり、選択肢によって保証人への影響は大きく変わります。
そのため、債務整理に精通した弁護士や司法書士に相談し、債務者本人と保証人の双方にとって最適な解決策を見つけることが何よりも大切です。
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家族が連帯保証人になっている場合、債務整理は金銭問題だけでなく、家族関係そのものに影響を及ぼす可能性があります。
しかし、適切な対処法を知ることで、トラブルを避け、家族の絆を守りながら解決の道筋を見つけることができます。
ここでは、家族関係が破綻するリスクとその予防法、さらに保証人も返済できない場合の連鎖破産を回避するための方法について解説します。
連帯保証人となった家族に突然請求書が届いたとき、その衝撃は想像を絶するものがあります。
特に、債務の存在や返済状況について事前に相談を受けていなかった場合、「騙された」「裏切られた」という感情が生まれ、修復困難な関係悪化を招くことがあります。
このような事態を避けるためには、以下の3つのポイントが重要です。
最も深刻なケースは、債務者が返済不能となった後、連帯保証人である家族も同様に返済能力を失ってしまう状況です。
このような「連鎖破産」は、一家全体の経済基盤を根底から崩壊させる可能性があり、特に慎重な対応が求められます。
これらの場合、一方の債務整理が他方の収入源や資産に直接影響を与えるため、連鎖的な破綻が発生しやすくなります。
このような複雑な状況では、家族だけで解決策を見つけるのは困難です。
債務整理に精通した弁護士や司法書士に早期に相談することで、それぞれの家族構成や経済状況に応じた最適な解決プランを立てることができます。
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奨学金や住宅ローンなど、家族や親族が連帯保証人になっている高額な借金は、債務整理を検討する際に特に大きな不安を伴います。
しかし、これらの特殊なケースでも、影響を最小限に抑えるための対策があります。
ここでは、奨学金と住宅ローン、それぞれの連帯保証人への影響と、具体的な解決策である「機関保証への切り替え」や「住宅ローン特則」、「任意売却」について詳しく解説していきます。
奨学金の返済が困難になった場合、連帯保証人への影響は深刻です。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金では、借り手が3か月以上延滞すると、連帯保証人や保証人に一括返済の請求が行われます。
債務整理を検討する前に、これらの制度を活用できないか検討することで、保証人への影響を回避できる場合もあります。
住宅ローンの場合、多くは保証会社が保証人となっていますが、親族が連帯保証人になっているケースや、収入合算でペアローンを組んでいる場合もあります。
住宅ローンの債務整理を行うと、保証人は残債務の返済義務を負うことになり、さらに担保となっている不動産も失うリスクがあります。
住宅ローンの問題は金額が大きく、家族全体の生活に与える影響も深刻です。
任意売却や債務整理を検討する際は、不動産の専門知識を持つ弁護士や司法書士に相談し、家族の状況に応じた最適な解決策を見つけることが重要です。
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債務整理を検討する際、連帯保証人にいつ連絡がいくのか、知られずに手続きはできないのか、もし返済を拒否したらどうなるのか、といった疑問や不安を抱えるのは当然です。
ここでは、そのようなよくある心配事とその現実的な回答を解説します。
連帯保証人への連絡タイミングは、選択する債務整理の方法によって大きく異なります。
重要なのは、連絡がいく前に保証人との話し合いの機会を設けることです。
突然債権者から連絡が来るよりも、事前に状況を説明し、今後の方針について相談できていれば、関係性の悪化を最小限に抑えられます。
連帯保証人付きの債務について完全に秘密にしたまま債務整理を進めることは、現実的には非常に困難です。
なぜなら、債務整理によって主債務者の返済が停止または減額されれば、債権者は当然ながら連帯保証人に対して残債務の請求を行うからです。
ただし、保証人のいない債務のみを対象とした任意整理であれば、その部分については保証人に知られることなく手続きを進められる場合があります。
例えば、複数の借入先があり、そのうち一部だけに保証人が付いているような状況では、保証人のついていない債務から優先的に整理することで、当面の返済負担を軽減できるかもしれません。
しかし、根本的な解決を図るためには、すべての債務を含めた総合的な整理が必要になることが多く、その場合は保証人への影響を避けることは難しくなります。
むしろ、事前に正直に状況を説明し、一緒に解決策を考える方が、長期的な信頼関係を維持する上では重要です。
連帯保証人が債権者からの請求に対して返済を拒否した場合、債権者は法的手続きに移行します。
まず、債権者は保証人に対して支払督促や訴訟を提起し、裁判所を通じて債務の確定を図ります。この段階で保証人が異議を申し立てなければ、債権者は強制執行の準備に進みます。
強制執行では、保証人の給与、預貯金、不動産などの財産が差し押さえの対象となります。
給与の場合は手取り額の4分の1(または手取り額が44万円を超える場合はその超過分)が差し押さえられ、預貯金については原則として全額が対象です。
不動産がある場合は、競売にかけられ、売却代金が債務の弁済に充てられます。
連帯保証人には、「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」は認められていないため、主債務者に財産があっても、債権者は直接連帯保証人の財産から回収することが可能です。
最終的に保証人自身も返済が困難な状況に陥った場合は、保証人自身が債務整理を検討することになります。
この場合、主債務者とは別個に手続きを進められ、保証人の経済状況に応じた解決策を選択できます。
連帯保証人自身も経済的な困窮状態にある場合、保証人としての債務についても債務整理を行うことは可能です。
保証人の債務整理は主債務者の手続きとは独立して進められるため、それぞれの経済状況に応じた最適な方法を選択できます。
このような複雑な状況では、主債務者と連帯保証人の双方が、それぞれ専門家のサポートを受けながら最適な解決策を見つけることが大切です。
弁護士や司法書士は、個々の状況に応じた具体的なアドバイスを提供し、関係者全員にとって最も負担の少ない解決方法を一緒に検討してくれます。
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債務整理を検討する上で連帯保証人への影響は、どうしても避けて通れない問題です。
債務者が債務整理を行うと連帯保証人に請求が移行し、場合によっては一括返済を求められる可能性があります。
しかし、この状況は決して絶望的ではありません。
連帯保証人が付いている債務については、任意整理の対象から外すことができます。また、連帯保証人と事前にしっかりと話し合い、理解を得た上で進めることで、トラブルを最小限に抑えることも可能です。
保証人自身も債務整理や債権者との分割払いの交渉を検討するなど、状況に応じた対処法があります。
重要なのは、一人で抱え込まずに適切な判断を行うことです。連帯保証人への影響、大切な家族との関係性、債務者本人の今後の生活設計など、多くの要素を考慮し、最適な解決策を選ぶ必要があります。
そのためには、債務整理に精通した弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。多くの法律事務所では無料相談を実施しており、気軽に現状を話せる機会があります。
専門家は、具体的な債務状況や連帯保証人との関係性を踏まえて、最も適切な方針を一緒に検討してくれます。きっと安心して前向きに歩んでいくことができるでしょう。
借金問題は、必ず解決できる問題です。まずは、勇気を出して無料相談から始めてみてください。
この記事の監修者
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