代表破産・倒産
2024.10.24 ー 2025.12.29 更新
会社の経営が行き詰まり、法人破産を検討せざるを得ない状況に追い込まれた時、最も気になるのは「自分自身への影響はどこまで及ぶのか」という点です。
本記事では、法人破産が代表者に与える影響、メリット・デメリット、他の選択肢や判断基準について詳しく解説します。
こんな人におすすめの記事です。
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法人破産を検討するにあたり、まずその基本的な仕組みを理解し、代表者個人にどのような影響が及ぶのかを正確に把握することが重要です。
ここでは、法人破産の定義から、会社と個人の法的な関係、そして代表者が直面しうる具体的な影響範囲の概要について解説します。
法人破産とは、会社(法人)が債務超過などにより事業継続が困難になった場合に、裁判所を通じて会社の財産を処分し、債権者に公平に配分する法的手続きです。この手続きにより会社は法人格を失い、事実上消滅します。
「会社破産」という言葉は一般的に法人破産と同じ意味で使われますが、法的な正式名称は「法人破産」です。
重要なのは、法人破産はあくまで会社という「法人」の債務を整理する手続きであり、会社と代表者個人は法的に別々の存在として扱われるという点です。
そのため、会社が破産したからといって、代表者個人が自動的に破産するわけではありません。しかし、中小企業の場合、現実的には代表者個人への影響は避けられないケースが大半です。
中小企業の代表者の多くは、会社の借入に対して個人保証を提供しているため、法人破産時にはその債務が代表者個人に請求されることになります。これが代表者個人への最も直接的な影響です。
また、破産手続き前の特定の行為(例:偏頗弁済、財産の不当処分)によっては、代表者個人が責任を追及される可能性もあります。
法人破産は代表者個人の信用情報にも記録され、一定期間、新たな借入やクレジットカードの作成が困難になるなどの影響が出ます。
一方で、適切に手続きを進めれば、個人の住宅や生活に必要な最小限の財産は一定程度保護される可能性があります。
ただし、個人保証債務が残る場合は、最終的に個人再生や自己破産といった債務整理手続きを検討する必要があるのが現実です。
このような複雑な影響を正確に把握するためには、以下のように多角的な検討が必要です。
進め方一つで代表者個人への影響が大きく変わるため、早い段階での専門的な判断とサポートが重要になります。
法人破産の手続きと費用・代表者への影響をわかりやすく解説
「資金繰りの悪化で返済の見通しが立たない」「このまま経営を続けて本当に良いのか不...

法人破産を決断する前に、代表者として直面する可能性のあるデメリットを詳しく見ていきましょう。
これらの影響を理解することが、より適切な経営判断につながるはずです。
法人破産を申し立てると、会社は法人格を失い完全に消滅します。これは単に事業を休止するのとは根本的に異なり、法的に会社という存在そのものがなくなることを意味します。
長年築き上げてきた事業基盤、顧客との信頼関係、取引先とのネットワークなど、すべてが一度リセットされてしまいます。
特に、地域に根ざした事業や専門性の高いサービスを提供していた場合、その影響は計り知れません。
もし将来的に同じ分野で再起業を考えても、一から信頼を築き直す必要があり、相当な時間と労力を要します。
また、破産歴のある経営者として、新たな事業での融資や取引においては、慎重に審査される可能性も高まります。
法人破産では、会社が消滅するため必然的に全従業員を解雇することになります。これは経営者にとって最も心苦しい決断の一つです。
従業員やその家族の生活に直接影響を与えるだけでなく、長年一緒に働いてきた仲間との関係性も断ち切られてしまいます。
従業員への未払い賃金や退職金については、破産手続きでは一定の優先順位を持ちますが、会社の財産状況によっては全額支払えない可能性もあります。
労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度が利用できる場合もありますが、支払い限度額があり、すべてをカバーできるわけではありません。
経営者としては、可能な限り従業員の再就職支援や引き継ぎ先の紹介など、できる範囲でのサポートを検討することが肝要です。
法人破産を行った代表者は、金融機関や信用情報機関に破産歴が記録され、長期間にわたって個人の信用情報に影響を与えます(いわゆるブラックリスト)。
この影響は想像以上に広範囲に及び、日常生活のさまざまな場面で制約を受けるかもしれません。
最も直接的な影響は、新たな借入やクレジットカードの作成が困難になることです。
住宅ローンや自動車ローンはもちろん、携帯電話の分割払いや賃貸住宅の保証会社審査にも影響する可能性があります。
破産から7〜10年程度は、これらの審査で不利になるため、覚悟が必要です。また、将来新たに事業を始める際の資金調達も大きな課題となります。
法人の借入金について連帯保証人になってくれた方々に、重大な経済的負担をかけることになります。
これは多くの経営者が最も心を痛める問題の一つです。連帯保証人は、法人が返済できなくなった債務について全額返済する義務を負います。
特に深刻なのは、家族や親族、友人知人が連帯保証人になっているケースです。
配偶者や両親、兄弟姉妹などが保証人となっている場合、彼らの財産や住宅が差し押さえの対象となる可能性があります。
長年住み慣れた実家を失ったり、老後の生活資金を失ったりするなど、家族全体の人生設計に大きな影響を与えることもあります。
法人格があるからといって、代表者が完全に責任を免れるわけではありません。
特定の状況下では、代表者個人に対して損害賠償請求がなされる可能性があります。これは「役員責任」や「法人格否認の法理」として知られる概念です。
経営判断において明らかな過失や善管注意義務違反があった場合、取締役として個人的な責任を問われることがあります。
例えば、明らかに返済不能な状況で新たな借入を行った場合や、会社の財産を私的に流用した場合、粉飾決算や虚偽の財務報告により債権者に損害を与えた場合などです。
さらに、源泉所得税や消費税などの滞納がある場合、代表者個人に第二次納税義務が課される可能性もあります。
これらの税金は破産手続きでも免責されないことが多く、長期間にわたって個人の財産に影響を与え続けることになります。
破産手続きでは、破産管財人によって会社の全財産が処分されることになります。
これには設備や機械、在庫商品だけでなく、知的財産権や営業権、顧客リストなどの無形資産も含まれます。長年かけて蓄積してきた資産が、一度に失われてしまいます。
特に製造業や小売業の場合、専用設備や特殊な機械類は処分価格が簿価を大幅に下回ることが一般的です。
また、在庫商品も緊急処分となるため、原価を大きく下回る価格での売却となることが多く、債権者への配当原資が期待より少なくなる傾向があります。
賃貸物件の敷金や保証金、リース契約の残価なども回収が困難になるケースが多く、想定以上の損失となることもあります。
法人破産には想像以上に高額な費用がかかります。裁判所に納める予納金だけでも、負債額や財産規模に応じて数十万円から数百万円が必要です。
さらに弁護士費用も含めると、総額で200万円から500万円程度の資金を準備しなければならないケースも少なくありません。
資金繰りに困っている状況でこれだけの費用を準備することは、多くの経営者にとって大きな負担となります。
しかも、これらの費用は破産手続き開始前に準備する必要があり、手続きを進めるための第一の関門となることが少なくありません。
手続き期間も長期間に及びます。申立てから破産手続きの終結まで、通常6か月から1年程度、複雑な案件では数年かかることもあります。
この間、代表者は破産管財人との打ち合わせや裁判所での手続きに時間を取られ、精神的なストレスも相当なものです。
最も無形かつ重要な損失が、長年の経営経験で培ってきたノウハウや人脈の喪失です。
顧客との信頼関係、仕入先との良好な取引関係、業界内での人的ネットワークなど、お金では買えない価値のある資産が一度に失われることになります。
特に専門性の高い業界や地域密着型の事業では、この損失は計り知れません。長年の実績によって築いた技術的な信頼や、地域コミュニティでの評価は、一度失うと回復に相当な時間がかかります。
また、熟練した従業員たちが持っていた技術やノウハウも、彼らの転職とともに失われてしまいます。
さらに深刻なのは、業界内での風評被害です。破産した会社の元代表者として、同業界での再起業や転職が困難になる可能性があります。

法人破産は事業で築いてきた価値をすべて失うリスクを伴います。破産手続きに入る前に、以下の選択肢を慎重に検討することが、より良い解決策を見つける可能性を高めるでしょう。
事業譲渡は、会社の有価値な事業部門のみを他社に売却し、その対価で債務を整理する手法です。
特に「第二会社方式」は、収益性の高い事業部分を新会社に移転させ、事業の継続を図りながら旧会社で債務処理を行う方法として注目されています。
この手法の最大のメリットは、事業そのものの価値を保護できることです。長年培ってきたノウハウや技術力、顧客基盤を維持しながら、財務的な問題から切り離すことが可能になります。
従業員の雇用についても、新会社での継続雇用により、大幅な人員削減を避けることができるケースもあります。
ただし、事業譲渡が成功するためには、譲渡先企業の確保と適切な企業価値評価、そして債権者の理解と協力が不可欠です。
譲渡対価が債務総額を下回る場合でも、破産による資産散逸を防ぎ、債権者により多くの回収機会を提供できる可能性も期待できます。
民事再生手続きは、事業を継続しながら債務を整理し、会社の再建を目指す法的手続きです。
破産とは異なり、経営陣が引き続き事業運営を行える点が大きな特徴です。債務の一部カットや返済期間の延長により、実現可能な返済計画を立て直すことができます。
事業が本質的に収益性を持っている場合、一時的な資金繰り悪化が原因であれば、この手続きにより持続可能な事業運営を回復できる可能性があります。
一方、特別清算は、株主総会の決議により会社を解散させた後、裁判所の監督下で清算を進める手続きです。
通常の清算では処理が困難な場合に利用され、債権者との協定により債務の減額も可能です。破産手続きと比較して、手続き費用が抑えられ、経営陣の責任追及も軽減される傾向があります。
これらの手続きを選択する際の重要なポイントは、事業の将来性と債権者の協力姿勢です。再建型の手続きでは、債権者の一定割合以上の同意が必要となるため、事前の根回しと説得力のある事業計画の提示が成功の要です。
法人の債務問題は、放置すればするほど選択肢が狭まり、最終的に破産以外の道が閉ざされてしまう可能性が高まります。
経営者の多くが「もう少し頑張れば状況が改善するかもしれない」と考えがちですが、客観的な専門家の視点から現状を分析することで、見落としていた解決策が見つかることも少なくありません。
弁護士は法的手続きの専門家として、債権者との交渉や各種法的手続きの選択について適切な助言を提供します。
税理士は、税務面での影響を含めた総合的な判断材料を提供し、手続き後の税務処理についても事前に対策を講じることが可能です。
早期相談の価値は、選択肢の多様性にあります。資金繰りが完全に行き詰まってからでは、緊急的な破産申立て以外の選択が困難になってしまいます。
しかし、まだ数か月の猶予がある段階で相談を開始すれば、より良い結果につながる準備期間を確保できます。

法人破産は確かに重大な決断ですが、適切に手続きを行うことで、経営者にとって新たなスタートを切るための基盤を築くことができます。
ここでは、法人破産によって得られる主要なメリットを4つに分けて詳しく解説します。
法人破産の最も大きなメリットは、会社が抱えているすべての債務を法的に消滅させることができる点です。
これは「免責許可」と呼ばれる裁判所の決定によって実現されるものです。
具体的には、以下のような会社名義で発生した債務がすべて支払い義務から解放されます。
この効果は非常に強力で、債権者は法的に回収を諦めることになるため、経営者は「いつまで続くかわからない返済の重圧」から完全に解放されます。
ただし、租税債権(国税・地方税)の一部や労働債権(従業員への給与・退職金)など、破産手続きでも消滅しない債務があることは理解しておく必要があります。それでも、全体の債務負担が大幅に軽減されることは確実です。
法人破産を行う際、多くの場合、代表者個人も連帯保証人となっているため個人の債務問題が同時に発生します。
この点についても、法人破産と個人の自己破産を並行して進めることで、包括的な解決を図ることが可能です。
中小企業の場合、代表者が会社の借入に対して個人保証を行っているケースがほとんどです。会社が破産しても、この個人保証債務は残存するため、代表者個人の財産に対して債権回収が行われる可能性があります。
しかし、代表者も同時に自己破産手続きを行うことで、この個人保証債務からも解放されることが可能となります。
実際の手続きでは、弁護士が法人破産と代表者の個人破産を同時並行で進めることが一般的です。これにより手続きの効率性が高まり、費用面でも経済的になることが多いです。
この同時解決により、代表者は法人・個人の両面から債務の重圧を取り除くことができ、真の意味での「再スタート」を切ることが可能になります。
法人破産によって債務が整理された後は、代表者は新たな事業を始めることについて、法的な制約はほとんどありません。
これは多くの経営者が誤解している点ですが、破産したからといって永続的に事業活動が禁止されるわけではありません。
確かに破産手続き中は「破産者」として一定の制約を受けますが、免責許可決定が確定すれば、これらの制約は解除されます。
その後は、新会社を設立することも、個人事業主として活動することも可能です。
ただし、信用情報機関への登録(いわゆるブラックリスト)により、金融機関からの借入は一定期間困難になることを理解しておく必要があります。
多くの成功した経営者の中には、過去に破産を経験している方も少なくありません。
重要なのは、過去の失敗から学んだ教訓を活かし、より堅実な事業計画を立てることです。破産によって得た「身軽さ」を活かして、小規模からでも着実に事業を再構築していくことが可能です。
法人破産後に新たに得た収入や利益については、過去の債務の返済に充てる必要が一切ありません。これは経済的な再建を図る上で極めて重要なメリットです。
破産手続きを行わずに廃業した場合、債務は残存し続けるため、将来にわたって債権者から返済を求められる可能性があります。
しかし、適切な破産手続きを経ることで、新たに得た収入はすべて将来の生活や事業のために使うことができます。
この「経済的なリセット効果」により、多くの元経営者が破産後により安定した生活基盤を築くことに成功しています。
借金返済のプレッシャーから解放されることで、本来の能力やアイデアを十分に発揮できる環境が整うことが、この背景にあると考えられます。
また、家族の生活についても同様で、配偶者の収入や子供の教育費なども過去の債務の影響を受けることなく、純粋に家族の将来のために使うことが可能です。
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法人破産は経営者にとって重い決断です。しかし適切なタイミングで行うことで、従業員や取引先への影響を最小限に抑え、経営者自身の再起の可能性も高まります。
以下の4つの基準を総合的に判断することが、より良い選択につながるはずです。
営業利益の赤字が続いている状況は、事業の根幹に問題があることを示す重要なシグナルです。
単月の赤字であれば季節要因や一時的な要因によるものかもしれませんが、3か月以上連続での赤字は構造的な問題を抱えている可能性が高まります。
営業利益とは、本業の売上から売上原価と販売費・一般管理費を差し引いた金額です。この数字が継続的にマイナスということは、商品やサービス自体に市場価値がない、または競争力を失っていることを意味するものです。
重要なのは、この赤字が一時的な投資によるものなのか、それとも事業モデル自体の問題なのかを見極めることです。
既存事業の収益性が根本的に悪化している場合は、早期の決断が必要です。また、手元資金がどれくらい残っているかも重要な要素となり、資金繰りが厳しい状況では選択肢が限られてしまいます。
事業の立て直し可能性を判断する際は、感情的な希望ではなく客観的なデータと市場環境を冷静に分析する必要があります。
立て直しが可能かどうかは、業界全体の成長性、競合他社の状況、自社の強み・弱み、そして必要な投資額と回収見込みを総合的に評価することで判断が可能です。
まず業界全体の動向を確認しましょう。業界自体が縮小傾向にある場合、個社の努力だけでは限界があるものです。
自社の競争優位性も重要な判断要素です。特許技術、独自のノウハウ、強固な顧客基盤、優秀な人材など、他社にはない強みがあれば立て直しの可能性は高まります。
しかし、これらの強みを活かすために必要な資金調達が現実的に可能かどうかも検討する必要があります。
金融機関からの追加融資が困難な状況では、いくら良いアイデアがあっても実行に移すことは難しいものです。
法人破産を選択すると、基本的に会社の全資産が処分されることになります。そのため、どうしても手放したくない重要な資産や事業部門がある場合は、他の選択肢を検討する必要があります。
重要な資産とは、単に金銭的価値が高いものだけではありません。長年培ってきた顧客リスト、独自技術、ブランド力、熟練技術者のノウハウなど、簡単には再現できない無形資産も含まれます。
例えば、創業100年の老舗企業であれば、その歴史とブランド価値は一度失うと取り戻すことが困難です。
事業譲渡や会社分割により、収益性の高い部門だけを他社に譲渡し、残りの部分を清算するという方法もあります。
この場合、譲渡先企業で雇用が継続される可能性もあり、従業員への影響を軽減できます。ただし、事業譲渡には一定の手続きと時間が必要であり、債権者の同意も得なければなりません。
債権者との関係性と交渉可能性は、法人破産以外の選択肢を探る上で非常に重要な要素です。
主要な債権者が返済条件の見直しや支払い猶予に応じてくれる場合、民事再生や任意整理による再建の道が開ける可能性を秘めています。
金融機関との関係では、これまでの取引実績や信頼関係が大きく影響します。
長期にわたって安定した取引を続けており、一時的な業績悪化であることを理解してもらえる場合は、返済条件の緩和や追加融資に応じてもらえる可能性もあります。
取引先債権者に対しても、誠実な対応と現実的な提案が重要ですし、長期的な取引関係を重視する取引先であれば、会社の存続を前提とした条件見直しに応じてくれる可能性もあるはずです。
ただし、債権者との交渉には専門的な知識と経験が必要です。不適切な対応をすると、かえって状況を悪化させる恐れもあります。
このような重要な判断に迷われた時は、企業再生に詳しい弁護士や公認会計士などの専門家に相談することで、ご自身の状況に最も適した選択肢を見つけることができます。

会社の経営状況が厳しくなった際、法人破産以外にも事業の再建や清算を進めるための法的手続きがいくつか存在します。
それぞれの方法には異なる特徴があり、会社の規模、債務状況、再建の可能性、そして経営者の希望によって最適な選択肢は変わってきます。
ここでは、法人破産と比較しながら、主要な会社整理手続きについて解説します。
会社更生は、事業を継続しながら会社の再建を図る法的手続きです。
法人破産が会社の清算を目的とするのに対し、会社更生は事業の存続と経営の再建を目指すという根本的な違いがあります。
会社更生手続きでは、裁判所の監督のもとで更生管財人が選任され、債権者や株主の権利を調整しながら再建計画を策定します。
この手続きの最大の特徴は、事業を継続しながら債務の減免や返済期間の延長などを通じて、経営の立て直しを図ることができる点です。
ただし、会社更生を選択するためには厳格な要件があり、再建の見込みがあることが前提となります。
また、株式会社であることが求められ、持分会社では利用できません。さらに、一定規模以上の会社でなければ手続きが認められないケースも多く、中小企業では事実上利用が困難なケースもあります。
手続きの期間も法人破産と大きく異なり、数年にわたる長期間を要することが一般的です。
この間、経営者の経営権は更生管財人に移り、日常の経営判断についても制約を受けます。費用面でも、法人破産よりも高額な費用が必要となるケースが多くなります。
民事再生は、会社更生と同様に事業を継続しながら会社の再建を図る法的手続きですが、以下のようなより広範な企業が利用できる点が特徴です。
会社更生と異なり、原則として現在の経営陣が事業を継続しながら再建計画の策定・実行を行うことができます(管財人制度もありますが、多くの場合DIP型再生として経営者が事業を継続)。
債務の一部カットや返済期間の延長により、実現可能な返済計画を立て直すことが可能です。
費用も会社更生よりは抑えられる傾向にあり、中小企業にとって現実的な再建手段として活用されています。
ただし、債権者集会での再生計画案の可決には、債権者の過半数および債権額の2/3以上の同意が必要となるため、債権者との交渉と説得が重要です。
特別清算は、会社を解散させた後、裁判所の監督下で清算を進める手続きです。
法人破産が会社の財産を強制的に処分し、債権者に配当するのに対し、特別清算は債権者との協定(協定型特別清算)により、債務の減額や支払い条件の変更を合意形成して清算する点が特徴です。
特別清算は、主に債務超過状態にありながら、主要な債権者(特に金融機関など)の協力が得られる場合に選択されます。
手続き費用は法人破産よりも抑えられる傾向があり、経営者の責任追及も軽減される可能性があります。
しかし、債権者集会での特別清算協定案の可決には、債権者の過半数および債権額の2/3以上の同意が必要であり、全債権者の協力が得られない場合は法人破産に移行することもあります。
事業継続ではなく、あくまで解散・清算を目的とする点で、民事再生や会社更生とは異なります。
上記で説明した各会社整理手続きの主な違いを、以下の表で比較して確認しましょう。
| 項目 | 会社更生 | 民事再生 | 特別清算 | 法人破産 |
| 目的 | 事業の再建・存続 | 事業の再建・存続 | 会社の解散・清算 | 会社の清算・消滅 |
| 経営権 | 更生管財人が経営権を掌握。元の経営陣は原則退任。 | 原則として現在の経営陣が継続(DIP型再生)。 | 清算人が行う。 | 破産管財人が財産管理・処分。経営権は喪失。 |
| 対象会社 | 株式会社のみ。大規模企業が主。再建の見込みが必要。 | 全ての法人・個人事業主。再建の見込みが必要。 | 株式会社のみ。債権者の同意が必要。 | 全ての法人(株式会社、持分会社など)。規模は問わない。 |
| 手続き期間 | 長期間(数年かかることも多い)。 | 中期間(半年~1年程度が多い)。 | 短期間(3ヶ月~半年程度が多い)。 | 比較的短期間(6ヶ月~1年程度が多い)。 |
| 費用 | 高額(管財人報酬、専門家費用など)。 | 会社更生よりは抑えられる。 | 比較的安価。 | 比較的高額だが、会社更生よりは抑えられる傾向。 |
| 債務の扱い | 更生計画に基づき債務を減免・延長。 | 再生計画に基づき債務を減免・延長。 | 債権者との協定に基づき債務を減免・変更。 | 債務は原則消滅(一部例外あり)。 |
| 信用情報 | 会社情報は残るが、代表者個人への影響は限定的。 | 会社情報は残るが、代表者個人への影響は限定的。 | 会社情報は残るが、代表者個人への影響は限定的。 | 代表者個人の信用情報に影響大(ブラックリスト)。 |
このように、各手続きはそれぞれ多岐にわたる違いがあります。自社の状況に最適な選択をするためには、これらの違いを深く理解し、慎重な検討が不可欠です。
法人破産の手続きは?申請から終了までの流れを解説
法人破産は、会社が財務的に限界に達し、経営を続けることが難しいと判断される場合に...

法人破産は、経営者にとって最も重い決断の一つです。しかし、適切なタイミングで専門家に相談することで、あなたと会社、そして関係者にとって最良の道筋を見つけることが可能になるかもしれません。
破産手続きは確かに複雑で、心理的な負担も大きなものです。従業員への対応、取引先への影響、個人保証の問題など、考えるべき要素は多岐にわたります。
だからこそ、ひとりで抱え込まずに、法律の専門家である弁護士に早めに相談することが大切です。
弁護士は、あなたの会社の具体的な状況を詳しく分析し、破産以外の選択肢についても検討してくれます。
民事再生や特別清算といった別の手続きが適しているケースもあり、場合によっては任意での事業整理という方法も考えられます。
また、破産手続きを選択する場合でも、適切な準備と手順を踏むことで、関係者への影響を最小限に抑えながら進めることが可能です。
特に個人保証を行っている経営者の方にとっては、法人破産と同時に個人の債務整理についても検討する必要があります。
経営者保証ガイドラインの活用や、個人の自己破産手続きとの連携など、専門的な判断が求められる場面が数多く出てくるものです。これらの判断を適切に行うためには、豊富な経験を持つ専門家のサポートが不可欠です。
また、破産手続きには法定の期限や手順があり、これを誤ると後々大きな問題となる可能性があります。
債権者への通知のタイミング、従業員への説明方法、資産の保全方法など、一つひとつが法的な意味を持つ重要な判断となります。
経営者として会社を支えてきたあなたが、今この困難な状況に直面していることは、決して恥ずかしいことではありません。多くの経営者が同様の困難を乗り越え、新たなスタートを切っています。
専門家に相談することで、あなたにとって最も適切な解決方法を見つけられるはずです。状況が深刻化する前に、まずは法律の専門家である弁護士に相談し、あなたと会社の未来に向けた第一歩を踏み出してください。
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