自己破産
2024.05.31 ー 2024.10.01 更新
自己破産は借金を全額免除することができる債務整理手続ですが、誰でも自由にできる手続きではありません。
本記事では、自己破産ができる3つの条件をわかりやすく解説します。
免責不許可事由に該当する「浪費」「ギャンブル」「投資」による借金でも自己破産ができるケースについても解説するので、最後まで読み進めてください。
こんな人におすすめの記事です。
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自己破産ができる3つの条件は以下の通りです。
それぞれについて解説します。
自己破産を申請するには、まず、支払不能状態で完済の見込みがないことが条件となります。支払不能状態とは、借金の返済が絶望的な状態のことです。
支払不能状態であるかどうかは、債務者の収入や財産、生活状況などを総合的に判断します。単に借金の額が多いだけでは、支払不能状態とは言えません。債務者に返済の意思と能力があれば、支払不能状態とは言えないのです。
また、支払不能状態は、一時的なものではなく、継続的・恒常的なものであることが必要です。一時的な収入の減少や、緊急の出費があったために、一時的に返済が滞ったような場合は、支払不能状態とは言えません。
自己破産を申請するには、債務が非免責債権でないことが条件となります。非免責債権とは、自己破産をしても免責されない債権のことを指します。
非免責債権には、以下のようなものがあります。
これらの非免責債権は、自己破産をしても、支払い義務が免除されません。自己破産をしても、その債務の支払い義務は残ります。
なお、非免責債権は破産法で以下のように定められています。
(免責許可の決定の効力等) 第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。 一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)四 次に掲げる義務に係る請求権イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)七 罰金等の請求権2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。 引用:破産法 第二百五十三条
(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)四 次に掲げる義務に係る請求権イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)七 罰金等の請求権2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。3 免責許可の決定が確定した場合において、破産債権者表があるときは、裁判所書記官は、これに免責許可の決定が確定した旨を記載しなければならない。4 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
損害賠償は自己破産で免責になるか知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
自己破産を申請するには、免責不許可事由に該当しないことが条件となります。免責不許可事由とは、自己破産をしても免責が認められない事由のことです。
免責不許可事由には、以下のようなものがあります。
これらの免責不許可事由に該当する場合は、自己破産をしても、免責が認められません。
また、免責不許可事由に該当するかどうかは、裁判所が判断します。破産手続き中に虚偽の申告をしたり、重要な事実を隠したりすると、免責が認められなくなるだけでなく、刑事罰の対象にもなりかねないので絶対にしないようにしましょう。
自己破産ができないケースは以下の通りです。
自己破産は、過去に免責を受けたことがある場合には、一定期間は再申請ができません。原則として前回の免責決定から7年間は自己破産をすることができない決まりです。
この規定は、自己破産制度の濫用を防ぐために設けられています。自己破産は、債務者の再生を助けるための制度ですが、安易に繰り返し利用されては、制度の趣旨に反します。そのため、一定期間は、再度の申請ができないようにしているのです。
ただし、この7年間の制限は、あくまで原則論です。例外的に、2回目の自己破産が認められるケースもあります。それは、前回の自己破産から7年以内であっても、その後に予期せぬ事情で多額の債務を負ってしまった場合です。
例えば、病気やケガで高額な医療費が発生した場合や、事業の失敗で多額の借金を抱えてしまった場合などは免責が認められる可能性が高いでしょう。
2回目の自己破産が可能かについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
自己破産は、原則として全ての債務を免責することができますが、非免責債権は免責されない借金です。税金や養育費、罰金などが非免責債権に当たります。
非免責債権である税金などを滞納している場合は、自己破産をしてもその債務を支払う義務が残ります。つまり、自己破産をしても、債務の支払いができない状態が解消されません。
税金などの滞納がある場合は、まずは税務署に相談しましょう。
自己破産の申請が認められるためには、免責不許可事由に該当する必要があります。
自己破産は一定の要件を満たす必要がある債務整理ですが、たとえ要件を満たしていても、免責が許可されないことがあり、これを免責不許可事由と呼びます。
免責不許可事由にはいくつか種類があります。
まず、自己破産の申請前に、財産を隠したり、不当に安い価格で売却したりした場合などは免責不許可事由に該当します。このような行為は、債権者の利益を損なうものであり、免責が認められません。
また、自己破産の申請前に、過大な借金をしたり、浪費したりした場合も、免責が認められません。自己破産は、債務者の再生を助けるための制度ですが、浪費や過大な借金は、再生の意欲に欠けると判断されるからです。
免責不許可事由に該当する場合は、自己破産の申請が認められても、免責が許可されません。自己破産を検討している場合には、自分が自己破産ができるかどうかを弁護士などの法律の専門家に相談してみてください。
自己破産は支払不能の状態にある必要があります。一般的な目安として、借金の総額を36で割った金額が毎月の返済可能額を上回っている場合には支払不能状態だと判断されます。
以下は、借金の総額と36で割った数を50万円単位で表にまとめたものです。
まずは自分の返済可能額が借金の総額を36で割った数を上回っているかを確認してみてください。
なお、借金の総額が少額である場合は、支払不能と認められないことが多いです。借金の総額が少額である場合には、任意整理や個人再生などの別の債務整理を検討しましょう。
自己破産の手続きにはお金が必要です。裁判費用である与納金を支払うことができないと、自己破産手続きを始めることはできません。
なお、自己破産にかかる与納金は、自己破産が同時廃止事件なのか、管財事件(通常管財)なのかで変わります。以下は、自己破産の手続きごとの必要な与納金です。
与納金を支払うことができない場合には、個人再生や任意整理などの債務整理を検討してください。
自己破産をすると、一定の職業に就くことが制限されます。
職業制限の対象となる職業を以下にまとめました。
自己破産をして復権するまでの期間は3ヶ月〜6ヶ月程度です。
職業制限に対応できない場合は、自己破産以外の債務整理を検討する必要があります。詳細については弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
自己破産ができないケースについての詳細はこちらの記事を参考にしてください。
自己破産ができる条件に該当しなくても自己破産できるのでしょうか。
ギャンブルが原因で借金を抱えている場合でも、債務者が反省し、更生の意欲を示している場合は自己破産が認められることがあります。
自己破産手続きをする際には、ギャンブルで借金が増えてしまった経緯や債務者の反省の態度などを丁寧にまとめる必要があります。絶対に自己破産ができないわけではないので、まずは弁護士などの法律の専門家に相談してみてください。
FXや株式投資が原因で借金を抱えている場合でも、自己破産は可能です。ただし、FXや株式投資による借金の場合もギャンブルによる借金と同様に、債務者が反省し、更生の意欲を示す必要があります。
投資で借金を作ってしまったからといって絶対に自己破産ができないわけではないので、まずは弁護士などの法律の専門家に相談してみてください。
浪費が原因で借金を抱えている場合でも、自己破産は可能です。債務者が反省し、更生の意欲を示している場合には、自己破産が認められるケースもあります。
浪費が原因で自己破産をする場合には、浪費癖を改善するための努力を示すことが重要です。家計管理の方法を見直したり、浪費の原因となる習慣を改めたりするなどの改善策を提示しましょう。
自己破産をしない方がいいケースは以下の通りです。
自己破産は、債務者の財産を処分して債権者に配当する必要がある債務整理です。そのため、原則として家や車などの財産を残すことができません。
自由財産と呼ばれる生活に必要不可欠な財産だと認められれば手元に残すことができますが、基本的には認められないでしょう。
車や自宅など残したい財産がある場合には、任意整理や個人再生などの別の債務整理を検討してください。この2つの債務整理手続きを行う場合には、家や車を残すことができます。
自己破産をすると、保証人に迷惑をかけることになります。保証人に迷惑をかけたくない場合は、自己破産以外の債務整理方法を検討する方が良いでしょう。
保証人(連帯保証人)は、債務者が借金を返済できなくなった場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。自己破産をすると、保証人に対して、保証債務の履行が求められることになります。
簡単な言葉に言い換えると、保証人が債務者の代わりに借金を返済しなければならなくなるということです。
そのため、あなたが保証人に迷惑をかけたくない場合には、任意整理に切り替えることを検討するようにしてください。任意整理を行う場合には、保証人がついている借金を債務整理の対象から外すことができます。
自己破産は職業制限があるため、資格制限のある職業に就いている場合は、自己破産以外の債務整理方法を検討する方が良いでしょう。
おすすめなのは任意整理か個人再生です。どちらの手続きも職業制限はありません。ただ、借金の減額幅は小さくなってしまいます。
そのため、資格制限のある職業に就いている場合は、自己破産のリスクを理解した上で、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
自己破産できない時の対処法は以下の通りです。
自己破産の申立てが却下されたタイミングで、即時抗告(異議申立て)をすることができます。即時抗告とは、裁判所の決定に対して不服がある場合に、上級裁判所に対して異議を申し立てる制度です。
即時抗告を行うためには、却下決定があった日から14日以内に、管轄の高等裁判所に抗告状を提出する必要があります。抗告状には、却下決定に対する不服の理由を具体的に記載しましょう。
高等裁判所は、抗告状の内容を元に却下決定が適切であったかどうかを判断します。高等裁判所が却下決定を取り消した場合は、地方裁判所に差し戻され、再度審査が行われます。
とはいえ、単に債務者が不服であるというだけでは、即時抗告は認められません。明らかな誤りがある場合のみ利用できる対処法であることを覚えておきましょう。
自己破産の申立てが却下された場合や、自己破産ができない場合は、任意整理を検討しましょう。任意整理は、債務者と債権者が話し合いにより、債務の減額や返済方法の変更などを行う債務整理です。
任意整理では、弁護士などの専門家が債務者に代わって債権者と交渉を行い、利息のカットや長期分割払いを目指します。債務者の財産を処分する必要がないため、自宅や車などの財産を手元に残すことができます。
債権者の同意が必要となりますが、比較的手続きが簡単で費用も安く済む債務整理なので、自己破産ができない場合には任意整理を検討するようにしてください。
自己破産の申立てが却下された場合には、個人再生を検討しましょう。個人再生では借金を1/5〜1/10程度まで減額することができます。自己破産のように借金が免除される借金救済制度ではありませんが、債務の減額幅が大きい債務整理です。
自宅や車などの財産を手元に残すこともできるので、自己破産の申立てが却下された場合には、個人再生を検討してみてください。
本記事では、自己破産ができる3つの条件をわかりやすく解説しました。
自己破産を検討している場合には、本記事で紹介した3つの条件を満たしているか確認するようにしてくださいね。
なお、債務急済では東京や大阪などエリア別に債務整理におすすめの法律事務所・司法書士事務所を紹介しています。こちらから法律の専門家の検索・検索結果一覧の確認ができるので、借金問題を解決したい方は比較・検討しつつ、気軽に相談してみてください。
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