個人再生(民事再生)
2023.09.01 ー 2023.11.02 更新
個人再生と債務整理とは、共に借金を整理する手段であり目的も一緒で借金問題を解決することにあります。しかしその中でも具体的な方法や進め方、結果に差が出てきます。
まずは、債務整理の中にはどのような種類があるのか、その特徴を見てみましょう。
個人再生と自己破産は、共に法的な債務整理の手段です。
それぞれ異なる特性を持っており、どちらを選ぶかは個々の状況によります。
以下のような点を考慮し、個々の状況に合わせて手続きを選ぶと良いでしょう。
個々の状況により個人再生と自己破産、どちらの手段が適しているかは変わります。
個人再生と任意整理は、どちらも債務整理の手段で借金問題を解決するという目的が一致しています。しかし、それぞれ手続きの方法や結果、対象となる借金や条件などが異なります。
このように、個人再生と任意整理はそれぞれ異なる特徴とメリット、デメリットがあります。そのためどちらを選択すべきかは、以下のような点を考慮すると良いでしょう。
それぞれの状況やニーズに合わせて、個人再生と任意整理のどちらを選択するかを決めることが大切です。
これらの債務整理手段の中で、個人再生はどのような位置づけになるのでしょうか。
個人再生は、裁判所を通じて借金の返済計画を立て、借金の返済負担を減らす手続きです。
この手続きを選ぶメリットは大きく2つあります。
しかし、逆にデメリットとしては、手続きが複雑であることや、裁判所による審査が必要となるため、全ての人が個人再生を選ぶことができるわけではない点です。以上から、個人再生と債務整理は借金問題を解決する手段として同じでも、個々の具体的な方法や結果に違いがあることがわかります。
個人再生を利用するためには、いくつかの条件が必要となります。これらの条件を満たすことで、債務の一部を免除してもらったり、返済計画を立てて債務を再編することが可能となります。
以下に個人再生を利用するための主な条件を挙げています。
これらの条件を満たしている場合、個人再生の手続きを行うことができます。
個人再生が向いている人はどのような人でしょうか。基本的には、借金返済に困っているが一定の収入があり、返済能力がある人に適しています。
しかし、それだけではなく、以下のような特徴を持つ人も個人再生を選択することが考えられます。
以上のような特徴を持つ人が個人再生を選択することが多いですが、それぞれの個別の状況によります。
個人再生を利用する大きなメリットの一つが「借金が最大10分の1に減額される」可能性があるという点です。しかし、その具体的な内容や条件については、多くの人が理解していないかもしれません。
個人再生では、元の借金額から一定の割合を返済し、残りは法律によって免除されます。ここでいう「最大10分の1に減額」とは、借金の90%が免除され、全体の10%だけを返済すればよいという意味です。しかしこの条件が適用されるのは、一定の条件を満たした場合です。
具体的には、以下のような条件が考えられます。
これらの条件を満たす場合、借金が最大10分の1に減額される可能性があります。個人再生のメリットを最大限に活用するには、自身の状況を正確に把握し、専門家と共に適切な計画を立てることが重要です。
「長期の分割払いが可能」というメリットが、個人再生の手続きを選択する一つの大きな理由です。個人再生を選ぶことで、返済期間を長く設定し、毎月の返済額を低減させることができます。
個人再生の手続きでは、返済計画を立てる段階で、あなたの収入や生活費などを考慮して毎月の返済額が決定されます。そして、その返済計画に従って一定期間(最長で10年)にわたり返済を続けることになります。
この期間は、借金の総額、収入状況、生活費などによって変わりますが、自己破産や任意整理と比べて長期間にわたる分割返済が可能です。これにより、一度に大きな額を返済することなく、日常生活を続けながら返済を進めていくことができます。
長期の分割払いが可能な点は、個人再生の大きなメリットと言えます。しかし、それだけでなく、長期間にわたる返済計画は、借金を返済しながら生活を再建するという視点からも重要です。一度の大きな返済ではなく、計画的な返済により、経済的な自立を目指すことができます。また、個人再生では、返済計画が法律により保護されるため、返済中に取立て行為を受ける心配がありません。
ただし、返済計画は経済状況や生活環境の変化により途中で変更することも可能です。
個人再生を選択するメリットの一つとして「職業制限がかからない」という点があります。一部の法的な手続き、例えば自己破産などは、官公庁や法人の役員、弁護士、会計士など特定の職業についている方にとっては、職務を続けられないなどの制限が生じることがあります。しかし、個人再生の手続きではそういった制限はありません。
個人再生は借金の返済計画を立て、それに基づいて長期間にわたって返済を続ける手続きです。この過程で、個人再生手続きが公になることもありますが、その事実が職務遂行に影響を及ぼすことは基本的にありません。そのため、弁護士や公務員、教員、医師など特定の職業に就いている方でも、職業を続けながら返済計画に基づいて借金を返済することが可能です。
また、個人再生では返済計画が裁判所によって認められたものであるため、返済中に取立てや職場への連絡が行われることはありません。これにより、職場での人間関係に影響を及ぼすことなく、借金問題を解決することができます。
ただし、個人再生は長期間にわたる返済計画を組むため、安定した収入が必要です。
住宅ローンを抱えているということは、家を手放したくないという強い想いがあるはずです。
そのために個人再生を選択すると、以下のようなメリットがあります。
しかし、全ての人がこれらのメリットを享受できるわけではありません。個人再生には一定の条件があり、それをクリアすることが必要です。また、住宅ローン特例を利用するには以下の要件を満たす必要があります。
これらを満たして初めて、個人再生を選択して住宅を手放さずに済む道が開けます。
借金に苦しむとき、自己破産が最後の選択肢となることがあります。しかし、個人再生を利用すれば、自己破産を避けることが可能です。それがどのような事なのかを説明します。
自己破産は一度に全ての借金を帳消しにする強力な手段ですが、それには一定の犠牲が伴います。具体的には以下のようなことです。
これに対して、個人再生を行うと、これらのリスクを避けつつ、借金の返済が可能となります。具体的なメリットは以下の通りです。
このように、個人再生は自己破産とは異なる手段で、そのメリットとデメリットを理解し、適切な選択をすることが重要です。
債務整理をするとき、よく心配されるのが「ブラックリストに登録される」という問題です。これは金融機関がリスクの高い顧客情報を管理するためのリストのことを指します。
個人再生手続きを進めると、その情報は信用情報機関に記録されます。しかし、「ブラックリストに登録される」とは少し違います。信用情報機関には、個人が行った債務整理や遅延情報などのクレジットヒストリーが蓄積され、金融機関はこれを参照して新たな融資を決定します。
個人再生を行った場合、具体的な影響は以下のようになります。
以上のように、個人再生手続きを行うと信用情報機関に記録され、それが一定の影響を及ぼします。しかし、その一方で個人再生は借金の返済計画を法的に認めてもらい、一定期間内に全ての借金を返済する手続きです。そのため、完済後には再び新規でローンを組むことが可能になる等、金融生活を再スタートするための一歩となることもあります。
なお、自分の信用情報を知りたい場合は、信用情報機関に対して自己照会を行うことができます。
官報とは、政府が法律や公告など重要な情報を公表するための公式の新聞のことです。
個人再生の手続きが開始されると、その事実が官報に掲載されます。この掲載は法律により定められており、公平性を保つために必要な手続きです。具体的には、個人再生の申立てがあったこと、再生計画案の内容、債権者に対する異議申立ての期間などが公示されます。
掲載内容の一部例を以下に示します。
しかし、官報の掲載情報は一般的には閲覧されることは少なく、特に身近な人に見られる可能性は低いと言えます。また、掲載期間が過ぎるとオンライン上からも情報は削除されます。
個人再生手続きは、借金の返済が困難になった個人が法的に保護され、生活を再建するための手続きです。官報への掲載はその一部であり、この手続きを進めることで生活再建への道が開かれます。
個人再生では、法律家や法務局への手数料、借金の一部など、一定の金額を支払う必要があります。全ての借金がなくなるわけではないので、その点を理解しておくことが大切です。
具体的な金額は弁護士や司法書士、借金の総額、生活状況などにより変わるため、具体的な金額を知るには専門家に相談するのが良いでしょう。一見すると負担が大きいように感じるかもしれませんが、それは借金の全額返済に比べればはるかに少ないものです。個人再生は借金に悩む人々が新たな生活をスタートさせるための有効な手段です。
個人再生は、本人の借金が一部免除され、残りを長期的に分割して返済する手続きです。しかし、この手続きは本人の借金にしか影響せず、保証人に対する債権者の権利はそのまま残ります。つまり、借金の保証人がいる場合、本人が個人再生を行っても保証人に対する請求は続く可能性があります。
個人再生を検討する際は、借金の保証人にどのような影響が出るのかを理解し、早めに対策を考えることが大切です。
個人再生は、負債を整理し、経済的な自由を取り戻すための手段です。しかし、法的な手続きであるため、手続き自体は専門的な知識を要する複雑なものとなっています。
そのような複雑さを考慮すると、専門家である弁護士や司法書士の助けを借りて手続きを進めることが推奨されます。専門家は手続きの流れを理解しており、また適切な再生計画案を作成し、裁判所とのやり取りも行います。その結果、手続きの負担を軽減し、より良い結果を得られる可能性が高まります。
個人再生は一見複雑に見えますが、適切なサポートを受ければ確実に進めることが可能です。
個人再生の手続きでは、住宅ローンや自動車ローンの扱いも重要なポイントになります。具体的には以下のようになります。
住宅ローン: 住宅ローンは、個人再生手続きにおいて「特例債権」として扱われます。これは、生活に必要な住宅を確保するための措置です。特例債権となった住宅ローンは、借金全体の中で優先的に返済され、その返済条件は再生計画に盛り込まれます。なお、住宅ローンの元金が減額されることはありませんが、利息の一部がカットされる可能性があります。
自動車ローン: 一方、自動車ローンの扱いは、その車が仕事や生活に必要かどうかで変わります。仕事に必要な車であれば、住宅ローンと同様に特例債権となります。しかし、趣味や贅沢のための車であれば、一般債権として扱われ、他の債務と同様に減額されます。
以上が個人再生手続きにおける住宅ローン・自動車ローンの基本的な扱いです。
基本的に、個人再生手続きは自分一人で行うことは可能です。しかし、実際には法律の知識が必要だったり、複雑な手続きが必要だったりするため、専門家の支援を受けることがほとんどです。
以下に、自分で個人再生を行う場合と、専門家に任せる場合の違いをまとめました。
以上のように、自分で個人再生を行うことは可能ですが、法律の知識や手続きの複雑さ、成功率の観点から見て、専門家に依頼することがおすすめです。
まずはじめに、個人再生の手続きは基本的には公開されるものではありません。家族や会社に知られることは基本的にありません。しかし、以下の点に注意が必要です。
したがって、基本的には家族や会社に内緒で個人再生手続きを行うことは可能ですが、官報への掲載や保証人への影響など、知られる可能性が完全にないわけではありません。それらを考慮に入れた上で、適切な行動を取ることが大切です。
個人再生の手続きを進めるには、専門的な知識と経験が必要となります。そのため、弁護士や司法書士の力を借りることが一般的です。その報酬の相場は、個々の案件の複雑さや地域、事務所により異なりますが、大体の相場は以下の通りです。
ただし、この報酬は、事前に一括で支払う必要があります。また、報酬は個々の事務所によりまちまちなため、相談の際には必ず料金についても確認し、理解した上で契約するようにしてください。
個人再生手続きを成功させるには、専門的な知識と経験が必要です。そのため、適切な弁護士や司法書士に支援してもらうことが重要となります。個人再生に強い事務所は以下の特徴を持つことが多いです。
これらの特徴を持つ事務所を選ぶことで、個人再生の手続きをスムーズに進め、生活を立て直す一助となるでしょう。
個人再生は、個人が抱える借金問題を解決するための法的手続きの一つです。返済計画を立て、一定期間で返済を完了することを目指します。自己破産と異なり、すべての財産を手放す必要がないため、生活の基盤を維持しながら借金を減らすことができます。
個人再生は、財産を守りつつ借金問題を解決したい方に適した手法です。しかし、手続きの複雑さを考慮し、専門家のサポートを受けることが重要です。借金の減額だけでなく、将来的な生活設計にも対応するため、個別の状況に合った方法を選ぶことが求められます。
この記事の監修者
株式会社WEBYの債務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に債務整理の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。
※当社(株式会社WEBY)は直接債務整理のサービスを提供しておらず、債務整理の相談や依頼については紹介事務所へのリンク先で対応となるため、当サイトでは債務整理に関する個人の相談や質問にはお答えできません。
当サイトのコンテンツは事実に反しないよう尽力していますが、内容の正確性や信頼性、安全性を担保するものではありません。
債務整理の無料相談や依頼にお申し込みされる際は各弁護士事務所・司法書士事務所等の公式ホームページに記載されている内容をご確認いただき、自己判断していただけますようお願いいたします。
当サイトは株式会社WEBYと提携する企業のPR情報が含まれます。
当サイトで掲載しているコンテンツは個人および法人へ向けた情報提供が目的であり、債務整理を提供する事業者との契約代理や媒介、斡旋を助長するものではありません。