特定調停
2024.08.25 ー 2024.11.13 更新
特定調停は、2000年に施行された「特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律」(特定調停法)に基づいて経済的に困難な状況にある債務者を救済するために設けられた法的な手続です。
他の債務整理手続きよりも費用を抑えて手続きができるため、弁護士費用や司法書士費用を準備できない方の選択肢となる債務整理手続きですが、もちろんメリット・デメリットがあります。
本記事では、特定調停の基本知識からメリット・デメリット、費用や流れについて解説します。
こんな人におすすめの記事です。
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特定調停では、債務者が経済的に破綻する前に、簡易裁判所の関与のもとで債権者との間で債務の調整を図ることを目的としています。
特定調停は、債務者の申立てにより開始され、裁判所が選任した調停委員が中立的な立場で債務者と債権者の間に立ち、双方の利害を調整しながら解決策を模索していく制度です。この過程で、債務の減額や支払期限の延長、分割払いの導入など、債務者の状況に応じた柔軟な解決策が提案されます。
民事調停は、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。
特定調停は経済的破綻状態にある債務者からの申立事件に限られますが、民事調停では金銭の貸借や物の売買をめぐる紛争、交通事故をめぐる紛争、借地借家をめぐる紛争、知的財産権をめぐる紛争、農地の利用関係をめぐる紛争、公害や日照の阻害をめぐる紛争などさまざまです。
特定調停のメリットは以下の通りです。
それぞれについて解説します。
特定調停の大きなメリットとして、債務者自身が直接裁判所に申し立てを行うことができる点が挙げられます。
弁護士や司法書士などの専門家に依頼することなく、自らの意思で手続きを開始できるため、専門家への依頼費用を抑えることができるのは嬉しいポイントです。申立書の記入も比較的簡単で、裁判所の窓口でサポートを受けられることが多いため、法律の専門知識がなくても手続きを進めることが可能です。
特定調停は、借金の理由が問われません。
自己破産手続きを行う場合には、借金の原因によっては免責が認められないことがありますが、特定調停ではそのようなことはありません。そのため、ギャンブルや浪費など、社会的に批判される可能性のある理由で借金をした場合でも、手続きを進めることができます。
裁判所や調停委員は、債務者の現在の支払能力や将来の返済可能性に焦点を当てて調停を進めるため、過去の借金理由にとらわれることなく、前向きな解決策を見出すことができます。
特定調停は、任意整理・民事再生・自己破産などの他の債務整理手続きと比較しても費用を抑えることができるのがメリットです。
先ほど解説したように特定調停は自分で申し立てることができるため、弁護士や司法書士への依頼費用を節約することができます。
特定調停の受付票を送付することで、債権者からの取り立てを止めることができます。受付票を送付してから調停が始まるまでは借金の返済をする必要がなくなるため、精神的にも楽になれるでしょう。
なお、裁判所から債権者に特定調停申立受理通知等が郵送されるので、受付票の送付は必須ではありません。
特定調停のメリットとして、裁判所が選任した調停委員が債務者と債権者の間に立ち、交渉を主導してくれることが挙げられます。これは債務者にとって非常に心強い支援となります。
債務者自身が債権者と直接交渉を行う場合には、交渉に慣れていないため、不利な条件を受け入れてしまうリスクがあります。しかし、調停委員が介在してくれることで、そのようなリスクを回避できます。
また、複数の債権者がいる場合でも、調停委員が一括して交渉を行うため、債務者の負担が大きく軽減されます。
特定調停は、自己破産とは異なり資格制限がありません。
自己破産の場合は、弁護士・司法書士・税理士・公認会計士・警備員・宅地建物取引士・公証人など一定期間資格が使えなくなる職業がありますが、特定調停の場合にはそのような制限がありません。
そのため、税理士や警備員などの職業に就いていて債務整理を検討している場合には、特定調停を行ったほうがいいケースもあります。自分がどの債務整理手続きをするべきか悩んだ場合には、債務整理に強い弁護士や司法書士に相談するようにしてください。
特定調停の手続きを進めることで、強制執行を無担保で止めることができます。必ずしも強制執行を止められるわけではありませんが、特定調停の場合には民事執行の手続停止を命じることが出来る仕組みとなっています。
これは債務者にとって非常に大きいメリットとなります。なぜなら、財産を失うリスクを回避しながら、債務整理の手続きを進められるからです。
ここまで特定調停のメリットについて解説してきましたが、特定調停にはデメリットもあります。
特定調停は、裁判所の調停委員の立ち会いのもと、債務者と債権者が直接交渉し、債務の返済方法を決める手続きですが、書類作成は債務者自身で行う必要があります。
特定調停の申立書や債権者一覧表など、必要な書類は債務者自身で作成しなければいけないので、書類作成が大きな負担になることもあるでしょう。
特定調停の裁判所出頭は平日のみのため、土日に手続きを進めることができません。そのため、仕事をしている場合は有給を取るなどの対応が必要です。
仕事の調整が難しい場合には、特定調停以外の債務整理を行った方がいいでしょう。
特定調停は受任通知が発送されないので、督促をすぐに止めることができないというデメリットがあります。
特定調停の受付票を送付することで、債権者からの取り立てを止めることができますが、受任通知が発送される任意整理や個人再生、自己破産の方がスピーディーに取り立てを止めることができることを覚えておきましょう。
特定調停を行っても、思ったほど借金が減らないことがあります。
特定調停では、債務者と債権者が直接交渉するため、債権者の同意なしに、債務の額を大幅に減らすことはできません。これは、債権者ができるだけ多くの債権を回収しようとするためです。
また、調停委員は、公平な立場で調停を進めるため、債務者の要望を全て叶えてくれるわけではありません。そのため、債務者が希望した金額にならないこともしばしばあります。
特定調停は、個人再生か自己破産への移行が必要になる場合もあります。
特定調停では、債務者と債権者の合意があれば、債務の返済方法を柔軟に変えることができますが、債権者との合意が得られない場合や、債務者の返済能力が低い場合は、特定調停の手続きを行なっても交渉が破綻してしまうことも珍しくありません。
このような場合は、個人再生や自己破産など、他の債務整理手続きへの移行が必要となります。
特定調停には、申立手数料(収入印紙)と手続費用(郵便切手)が必要です。
申立手数料(収入印紙)は債権者1人(社)につき500円分の収入印紙を準備しましょう。また、郵便切手は債権者1人(社)につき432円分(84円切手4枚、10円切手9枚、2円切手3枚)を準備してください。
特定調停手続きの流れは以下の通りです。
特定調停の手続きは、債務者が管轄の簡易裁判所に申立てを行うことから始まります。
個人で特定調停を申し立てる場合には、以下の書類を準備しましょう。
申立てが受理されると、裁判所は事件受付票を交付します。この受付票は特定調停手続きの開始を証明する重要書類で、債務者はこのコピーを債権者に送付することで取り立ての停止を要請できます。
また、受付票の交付と同時に調査期日が決定します。調査期日は債務者の経済状況や債務の詳細を確認するための日で、債務者はこの日に裁判所に出頭し、提出書類の内容について説明を行います。
調査期日後、裁判所は調停委員を選任します。調停委員は弁護士や公認会計士などの法律や財務の専門家から選ばれます。
調停委員の選任と同時に、裁判所は調停期日を指定します。調停期日では、債務者、債権者、調停委員が一堂に会し、双方が納得できる解決策を探ります。
調停が成立した場合には、調停調書が作成されます。
調停調書には債務の返済の方法、期間などの具体的合意事項が記載され、裁判所の判決と同等の効力を持ちます。
調停成立後、債務者は調停条項に定められた内容に従って返済を開始します。調停条項には毎月の返済額、返済期間、利息の取り扱いなどが記載されています。
調停条項は法的拘束力を持つため、債務者が守らない場合には、債権者は強制執行などの法的手段を取ることができます。
調停条項に基づく返済が完了すると、特定調停の手続きは終了です。
本記事では、特定調停の基本知識からメリット・デメリット、費用や流れについて解説しました。
また、特定調停のデメリットは以下の通りです。
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