任意整理
2024.04.28 ー 2024.09.02 更新
任意整理は債権者との話し合いで債務の整理を行う手続きですが、誰でも自由に利用できるわけではありません。また、全ての人に適した債務整理ではなく、状況によっては別の債務整理が適していることもあります。
本記事では、任意整理ができる人の条件や任意整理できない借金の種類について解説します。
こんな人におすすめの記事です。
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任意整理ができる人の条件やケースは以下の通りです。
それぞれのケースについて解説します。
任意整理を検討する場合には、借金の総額と収入のバランスを確認しましょう。アルバイトやパート、正社員などで安定した収入があり、借金の総額が年収の1/3に達しそうな場合は、任意整理などの債務整理を検討するべきです。無職の場合には債務整理できません。
これは、総量規制と呼ばれる「個人消費者の借入上限は年収の3分の1までに制限する」というルールがあるためです。年収420万円の場合には、借金が140万円が目安です。
任意整理をするためには、返済実績が必要です。返済実績が必要な理由は、返済実績があれば、借金を返済する意思があると判断してもらえるため、任意整理の交渉をスムーズに進行することができるからです。
返済実績がない場合や長期間滞納している場合には、返済する意思がないと判断される可能性が高くなります。返済実績がない場合には、少額でも返済を継続するようにしてください。
任意整理は、滞納による督促(裁判所から送られてくる訴状や支払督促を含む)を受けている人でも手続き可能です。ただし、強制執行が開始される前段階である必要があります。
また督促を受けている段階であれば、任意整理の交渉を始めることができます。また、任意整理の手続きを開始すれば、督促を止めることができます。
任意整理を検討している場合には、強制執行手続きが始まる前に手続きを開始するようにしてください。
任意整理は、複数の金融機関から借入を行なっている人でも利用することができます。多重債務に陥っていると、複数の債権者から督促を受けることとなり、精神的にも負担が大きくなります。
任意整理では、弁護士や司法書士が複数の債権者と交渉してくれるため、そのようなストレスから解放されます。
複数の金融機関から借入を行なっている場合には、任意整理を検討してみてください。
任意整理は、任意整理ができる借金で困っている人でないと利用できません。任意整理は、クレジットカード会社からの借金(リボ払いを含む)がある人に特におすすめです。また、相続債務も任意整理の対象になります。
「リボ払いの任意整理」についてはこちらの記事を参考にしてください。
後ほど詳しく解説しますが、以下の借金で困っている人は任意整理できません。
任意整理できない借金
これらの借金で困っている場合には、任意整理以外の解決方法を検討する必要があります。
任意整理ができない人の条件と解決方法について解説します。
それぞれについて解説します。
返済実績がない人は、債務を返済する意思がないと判断されて、任意整理に失敗してしまうでしょう。返済実績がない状態で任意整理を検討する場合には、少額からでも返済を始めることが大切です。
毎月定額を返済することで、債権者からの印象をよくすることができます。返済するためのお金が全くない場合には、任意整理以外の債務整理を検討する必要があります。そのような場合には、弁護士や司法書士に相談しましょう。
「任意整理を依頼した専門家に辞任されるケース」についてはこちらの記事を参考にしてください。
税金や損害賠償金、養育費、罰金、公共料金、従業員の給与などの任意整理できない借金で困っている場合には、任意整理以外の債務整理を検討する必要があります。
税金や公共料金の支払いで困っている場合には、返済に困っている事実を誠実に伝えることで、分割払いや納付の猶予などを求めることができます。
このような交渉に失敗してしまった場合には、弁護士などの専門家に相談を行ってください。
借金の金額が大きすぎて返済の見込みがない場合は、任意整理をするべきではありません。任意整理は原則3年間の分割払いで借金の完済を目指す債務整理です。借金の金額が大きすぎる場合には、利息のカットを行っても3年で完済できないことが多いでしょう。
このような場合には、個人再生や自己破産を検討する必要があります。個人再生では、元本の減額して原則3年間で返済する計画を立てて返済を行い、自己破産では全ての借金を免除することができます。
借金の金額が大きすぎる場合は、弁護士に相談し、最適な債務整理手続きを選択することが重要です。
割賦払いで商品を購入した場合も、任意整理は避けるべきです。割賦払いは、商品の販売と信用供与が一体となった取引であるため、任意整理手続きを行なっても借金を減額することはできません。
割賦払いの債務で困っている場合は、まずは販売店やクレジット会社に相談しましょう。支払い方法の変更や、支払い期間の延長などを求めることができます。
任意整理は債権者の同意が必要な債務整理です。そのため、債権者が和解に応じない場合には借金を減額することができません。
債権者が和解に応じてくれない場合は、個人再生や自己破産などの債務整理手続きを検討する必要があります。
和解に応じない業者の例
保証人や担保がついた借金を任意整理することはおすすめできません。保証人がいる場合、任意整理で債務が減額されても、保証人の債務は残ります。そのため、保証人に迷惑をかけることになります。
また、担保は債務の支払いができなくなったときに売約をしてその売却代金を債務の返済にあてるものです。そのため、担保がついた借金を任意整理すると、担保として差し出したものを失うことになります。住宅ローンの場合には、住んでいる家の退去が必要です。
差し押さえが開始された後では、任意整理の交渉は基本的にできません。これは、差し押さえの方が確実に債権を回収できると判断されるためです。
すでに差し押さえが始まっている場合には、個人再生や自己破産を検討する必要があります。時間との勝負となるので、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。
生活保護を受けている場合にも、任意整理を行うことはできません。生活保護は、最低限度の生活を保障するための制度であり、その収入は差し押さえが禁止されています。
そのため、生活保護を受けている人は、返済能力がないと判断されます。任意整理では安定した収入がある必要があるので、生活保護を受けている場合は利用できません。
生活保護を受けている人が債務整理を検討する場合は、自己破産がおすすめです。
債務整理ごとにできる条件が違います。それぞれについて解説します。
任意整理ができる条件は、以下の通りです。
①借金の総額が年収の1/3程度で、安定した収入がある②返済実績がある③複数の金融機関から借入を行なっている④任意整理ができる借金(消費者金融やクレジットカード会社からの借金など)で困っている
一方、任意整理ができない条件は、以下の通りです。
①返済実績がない②任意整理できない借入(住宅ローンや税金、公共料金など)で困っている③借金の金額が大きすぎて、返済の見込みがない④債権者が和解に応じない⑤保証人や担保がついた借金で困っている⑥差し押さえが開始されている⑦生活保護を受けている
返済実績がなくて任意整理ができない場合には、少額でも返済を行いましょう。任意整理できない借入で困っている場合は、債権者と直接交渉するか、弁護士に相談しましょう。借金の金額が大きすぎる場合や、債権者が和解に応じない場合は、個人再生や自己破産などの法的手続きを検討してください。
「アコムの任意整理」についてはこちらの記事を参考にしてください。
「2回目の任意整理ができるか」についてはこちらの記事を参考にしてください。
個人再生ができる条件は、以下の通りです。
①借金の総額が5,000万円以下である②安定した収入があり、返済できる見込みがある③住宅ローン以外の借金で困っている④過去に個人再生や自己破産の手続きを行っていない
一方、個人再生ができない条件は、以下の通りです。
①借金の総額が5,000万円を超えている②返済の見込みがない③住宅ローンが主な借金である④過去に個人再生や自己破産の手続きを行ったことがある⑤税金や公共料金などの借金で困っている
借金の総額が5,000万円を超えている場合や、返済の見込みがない場合には、自己破産を検討しましょう。住宅ローンが主な借金である場合は、金融機関と直接交渉し、返済条件の変更を求めるようにしてください。過去に個人再生や自己破産の手続きを行ったことがある場合は、再度の手続きが認められない可能性があるため、弁護士に相談しましょう。税金や公共料金の借金は、支払いが難しいことを正直に伝え、分割払いや納付の猶予を求めてください。
特定調停ができる条件は、以下の通りです。
①借金の総額が140万円以上である。②借金の種類が、金銭消費貸借契約(いわゆる消費者金融やクレジットカード会社からの借金)である③家庭裁判所の管轄内に居住している
一方、特定調停ができない条件は、以下の通りです。
①借金の総額が140万円未満である②借金の種類が、金銭消費貸借契約以外(住宅ローンや税金、公共料金など)である③家庭裁判所の管轄内に居住していない
借金の総額が140万円未満の場合は、任意整理を検討しましょう。借金の種類が金銭消費貸借契約以外の場合は、債権者と直接交渉するか、弁護士に相談するようにしてください。また、家庭裁判所の管轄内に居住していない場合は、居住地の裁判所で手続きを行うか、転居を検討する必要があります。
自己破産は借金全額を免責できる借金救済制度です。自己破産ができる条件は、以下の通りです。
①借金の返済が困難である②借金の総額が、債務者の資産を超えている③将来的にも返済の見込みがない④債務者に免責不許可事由がない
一方、自己破産ができない条件は、以下の通りです。
①返済の見込みがある②借金の総額が、債務者の資産を下回っている③将来的に返済の見込みがある④免責不許可事由がある(詐欺的行為により借金をした、過去に自己破産の手続きを行ったことがあるなど)
借金の返済が見込める場合には、任意整理や個人再生を検討しましょう。借金の総額が債務者の資産を下回っている場合は、資産を売却して返済に充ててください。免責不許可事由がある場合は、弁護士に相談し、事由の解消を図りましょう。
任意整理できない借金の一覧は以下の通りです。
税金は、国や地方自治体に対する債務であり、任意整理の対象とはなりません。税金の滞納は、延滞金や加算金が発生し、差し押さえなどの強制徴収を受ける可能性があります。
税金の支払いができない場合は、税務署に相談し、納税の猶予や分割払いなど返済方法の変更を求めましょう。
損害賠償金は、事故や事件によって生じた債務であり、任意整理の対象とはなりません。損害賠償金は、被害者に対する法的な責任に基づく債務であるため、免除されません。
損害賠償金の支払いが難しい場合は、弁護士に相談してください。
養育費は、子供の養育に必要な費用を親が負担する債務であり、任意整理の対象とはなりません。養育費の支払いができない場合には、家庭裁判所に相談し、養育費の減額を求める必要があります。
罰金は、犯罪行為に対する制裁としての債務であり、任意整理の対象とはなりません。罰金の支払いができない場合は、裁判所に相談し、分割払いや納付の猶予を求める必要があります。
ただし、罰金の減額や免除は原則として認められません。罰金の滞納が続くと、財産の差し押さえや、場合によっては拘留などの措置が取られることがあります。
公共料金は、任意整理の対象とはなりません。公共料金は、生活に不可欠なサービスの対価であり、滞納しても利息がかかりません。延滞料金が免除されることもないため、きちんと支払いましょう。
従業員の給与は、労働の対価として支払われる債務であり、任意整理の対象とはなりません。従業員の給与は、生活の基盤となる重要な債権であるため、減額や支払いの猶予を求めることはできません。
従業員の給与の支払いが難しい場合は、資金繰りの改善などの対策を講じましょう。従業員の給与の支払いが滞ると、労働基準監督署への申告や、法的措置が取られるリスクがあります。
本記事では、任意整理ができる人の条件や任意整理できない借金の種類について解説しました。
任意整理ができる人の条件は以下の通りです。
自分が任意整理できる条件を満たしているか判断できない場合には、弁護士などの実績豊富な法律の専門家に相談するようにしてください。
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この記事の監修者
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