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任意整理とは?メリットや費用、おすすめな人について解説

任意整理

2024.04.282024.09.01 更新

任意整理は、債務者が支払不能に陥った際に、裁判所を介さずに債権者との話し合いで債務の整理を行う手続きです。債務者と債権者が直接交渉し、利息を免除してもらったり、返済期間を延長(原則3年間の分割払い)したりすることで、借金返済の負担を減らすことができます。

債務整理の中では最もライトな手続きですが、もちろんデメリットもあります。本記事では、任意整理のメリット・デメリット、任意整理がおすすめな人について解説します。

注意点やおすすめできない人についても解説するので、最後まで読み進めてください。

こんな人におすすめの記事です。

  • 任意整理手続きについて知りたい人
  • 今現在、クレジットカードの料金が支払えずに悩んでいて苦しい人
  • 借金の利息の返済に精一杯で元本がなかなか減らない人
  • 手元に10万円しかなくてこれ以上支払いを継続できない人
  • クレジットカードの借金(リボ払い)の返済ができず、任意整理を検討している人

記事をナナメ読み

  • 任意整理は利息を免除や返済期間の延長で借金の完済を目指す借金救済制度
  • 自身で手続することもできるが、弁護士法人に所属している法律の専門家への依頼がおすすめ
  • リボ払いなどのクレジットカード会社からの借金を減額できる(免責はされない)
  • 安定した収入が見込める人におすすめの債務整理
借金減額診断

任意整理とは?

スーツ姿の男性

任意整理とは、債務者が支払不能に陥った際に、裁判所を介さずに債権者との話し合いで債務の整理を行う手続きのことです。

任意整理では、債務者と債権者が直接交渉し、利息を免除してもらったり、返済期間を延長(原則3年間の分割払い)したりすることで、借金返済の負担を減らすことができます。利息を返すだけで精一杯な人に特におすすめな債務整理です。

分割での返済となるため、月々の支払いを減らすことができます。

任意整理で減る借金の種類

クレジットカード会社からの借金は任意整理で減らせる借金です。

銀行が提供するカードローンやキャッシングも任意整理の対象になりますが、銀行は消費者金融会社に比べて減額に応じにくい傾向があるため、交渉する際には必ず弁護士などの専門家に依頼しましょう。

なお、住宅ローンや奨学金、税金や公共料金の滞納などは、任意整理の対象外です。これらの債務の返済が難しい場合には、別の債務整理を検討しましょう。

任意整理ができる条件

専門家が説明している様子

任意整理ができる条件は以下の通りです。

  • 借金を返済する意思があること
  • 安定した収入があること
  • 利息カット後の借金を原則3年で返済できる見込みがあること

それぞれについて解説します。

借金を返済する意思があること

借金を返済する意思がないと、任意整理はできません。任意整理で債権者と交渉する際には、きちんと借金を返す意思があることを示す必要があります。

債務者が返済に対して真摯な姿勢を示すことで、債権者は和解に合意してくれるでしょう。

安定した収入があること

任意整理を行うためには、安定した収入が必要です。安定した収入があることを証明するために、「銀行の通帳」「源泉徴収票」「給与明細書」「確定申告書」などの提出を求められます。

これらの書類を提出して毎月一定金額の収入があることを証明できれば、任意整理に応じてもらうことができるでしょう。

なお、収入が全くない場合や収入が不安定な場合には、債権者と和解できない可能性が高いです。雇用形態は問われないので、任意整理を検討している場合には、アルバイトやパートで安定した収入を得るところからはじめてください。

利息カット後の借金を原則3年で返済できる見込みがあること

任意整理では利息のカットや返済期間の延長交渉を行いますが、利息カット後の借金を原則3年で返済できる見込みがある必要があります。

自分の収入と支出を元に、無理のない返済計画を立てることが大切です。返済見込みを示すために収支計画表などを作成し、債権者に提出しましょう。

弁護士に任意整理を依頼すれば、無理のない返済計画を立ててくれます。

任意整理の費用・料金

料金

任意整理は債権者1社あたり合計で5万円〜15万円程度の費用・料金がかかります。

具体的な費用の内訳は以下の通りです。

  • 相談料:1時間5000円程度
  • 着手金:1社につき2万円〜4万円程度
  • 解決報酬金:原則借入れ先1社につき2万円以下
  • 減額報酬金:減額金額の10%程度
  • 過払金報酬金:交渉の場合は回収額の20%以下・裁判の場合は回収額の25%以下
  • 送金代行手数料:1社につき月額1,000円程度
  • 実費

債権者の数が多いほど、かかる費用は高くなる仕組みです。

成功報酬は、減額された債務の割合に応じて別途計算されることが多く、減額分の10%程度が相場となっています。100万円の減額に成功したら、支払う成功報酬は10万円です。

任意整理の費用の詳細についてはこちらの記事で解説しています。

任意整理の費用相場はいくら?費用を安く抑える方法を解説!

任意整理に必要な書類

書類

任意整理を行う際に必要な書類は以下の通りです。

  1. 債権者リスト
    • 債権者の名称、借入れ金額、契約日、返済状況などを記載したリスト
  2. 収入を証明する書類
    • 給与明細(直近3ヶ月分)
    • 源泉徴収票
    • 確定申告書(自営業の場合)
    • 年金証書(年金受給者の場合)
  3. 資産を証明する書類
    • 預金通帳の写し
    • 不動産登記簿謄本
    • 自動車の車検証の写し
  4. 負債を証明する書類
    • 借入金の契約書や明細書
    • クレジットカードの利用明細書
    • 支払督促や訴状などの法的書面
  5. 家計の収支を示す書類
    • 家計簿や収支計画表
  6. 身分を証明する書類
    • 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
    • 住民票や戸籍謄本
  7. 同意書
    • 配偶者や連帯保証人の同意書(必要な場合)
  8. 委任状
    • 弁護士や司法書士に任意整理を依頼する場合の委任状

任意整理のメリット

メリット

任意整理のメリットは以下の通りです。

  • ​​受任通知を発送することで債権者からの督促がストップする
  • 利息や遅延損害金をカットできる
  • 過払い金が返還される可能性がある
  • 借金の元本自体を減額できる可能性がある
  • 任意整理をする借金を選ぶことができる
  • 原則3年間での分割払いができる
  • 家族や会社にバレずに債務整理できる
  • 持ち家や車などを手放さずに借金を減額できる

それぞれについて解説します。

​​受任通知を発送することで債権者からの督促がストップする

任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると受任通知が債権者に送られ、取立てや督促が止まります。受任通知を受け取った債権者は直接債務者に連絡を取ることができなくなり、代理人を通じてのみ交渉を進めることになります。

債権者から頻繁に連絡が来るストレスから解放されるので、債権者からの督促で困っている人は任意整理を検討してみてください。

利息や遅延損害金をカットできる

任意整理では利息や遅延損害金のカットを行うことができます。

特に多重債務に陥っている人は借金の利息が高額になっていることが多く、返済してもなかなか借金が減らない状況に陥りがちです。このような場合には、利息をカットすることで返済額を大幅に減らすことができます。

また、利息制限法の上限金利を超えて支払っていた利息は、過払い金として返還されます。過払金については次のメリットで詳しく解説します。

過払い金が返還される可能性がある

過払い金とは、利息制限法の上限金利を超えて支払った利息のことです。

借金の利息は利息制限法で上限金利(15%〜20%)が定められていますが、​​2010年6月18日以前は出資法の上限金利が29.2%だったため、29.2%未満の利息で貸し付けを行う貸金業者が多く存在していました。この利息制限法と出資法の上限金利の間となる金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、旧貸金業規制法43条の「みなし弁済」制度で認められた(違法ではない)金利でした。

2006年12月13日の貸金業法の改正、2010年6月18日に出資法の上限金利の改正により、上限金利が利息制限法の上限金利である20%まで引き下げられ、グレーゾーン金利での貸し付けは行政処分の対象(違法)となりました。

そのため、2010年(平成22年)6月17日以前にお金を借りていた人は貸金業者に過払い金を支払っていた可能性があります。過払い金が発生していた場合には、債権者(貸金業者)に対して返還を請求することができます。

返還された過払い金は、債務の返済に充てることができるため、2010年(平成22年)6月17日以前にお金を借りていた人は弁護士に相談してみることをおすすめします。

借金の元本自体を減額できる可能性がある

任意整理では、基本的に借金の元本自体を減額することはできませんが、過払い金がある場合には借金の元本も減額できます。過去には実際に、過払い金があることが発覚し、元本の減額に成功した人もいます。

借金の元本は、利息を除いた借金の本体部分のことです。借金の状況によっては任意整理で元本の減額も可能となります。

任意整理で借金を減額できるかの詳細を知りたい方は以下の記事で解説しています。

任意整理で借金はいくら減額できる?月々の返済額の計算方法や事例を紹介!

任意整理をする借金を選ぶことができる

任意整理では、債務整理をする借金を選ぶことができます。そのため、債務者が複数の借金を抱えている場合には、その中から任意整理の対象とする借金を選択可能です。

例えば、債務者が住宅ローンと消費者金融からの借金を抱えている場合、住宅ローンは任意整理の対象から外し、消費者金融からの借金のみを任意整理の対象とすることができます。ここが法的な手続きである個人再生や自己破産と異なるメリットです。

整理する借金を選択することで、債務者は返済の優先順位をつけることができます。どの借金を任意整理の対象とするかは、弁護士や司法書士と相談することをおすすめします。

原則3年間での分割払いができる

任意整理では、原則3年間での分割払いで借金の返済を行います。分割払いをすることで、毎月の返済額を減らすことができます。生活費を確保しつつ、着実に借金を減らしていくことができるので、生活の立て直しができるでしょう。

3年間での返済が難しい場合には、債権者との交渉で返済期間を延長することも可能です。

家族や会社にバレずに債務整理できる

任意整理のメリットとして、家族や会社に知られずに債務整理を進められることが挙げられます。任意整理は、裁判所を通さない手続きであるため、家族や会社にバレる心配がありません。

また、債権者との交渉は弁護士や司法書士が代理で行うため、債務者が直接債権者と対峙する必要もありません。手続きの途中で、家族や会社に連絡が行くこともないため、安心して手続きを行うことができます。

任意整理をした事が家族や会社にバレるか気になる方はこちらの記事で詳細をご確認ください。

任意整理は家族や会社にバレる?債務整理がバレないおすすめの方法とは

持ち家や車などを手放さずに借金を減額できる

任意整理の大きなメリットとして、持ち家や車などの資産を手放さずに、借金を減額できることが挙げられます。自己破産では、債務者の資産を処分して債権者に配当する必要がありますが、任意整理では不要です。

生活の基盤である持ち家(住宅・不動産)や仕事に必要な車などを守ることができるため、資産を手放さずに借金を減らしたい人に任意整理はおすすめです。

任意整理のデメリット

デメリット

任意整理のデメリットは以下の通りです。

  • 債権者の合意がないと任意整理できない
  • 信用情報機関に事故情報が記録される(ブラックリスト)
  • 任意整理をした会社で今後クレジットカードが作れなくなる(社内ブラック)
  • 借金の返済義務はなくならないので返済が必要
  • 借金の総額を大きく減額することはできない
  • 連帯保証人に請求がいく(迷惑をかける)
  • 強制執行を止めることはできない
  • 銀行口座が一時的に凍結される可能性がある

任意整理を行うと信用情報に事故情報が記録されることとなるため、任意整理完了後5年はローンの審査を行なっても落ちてしまうため、新規で借り入れを行うことはできません。また、クレジットカードを利用することもできなくなります。

詳細についてはこちらの記事で解説しています。

任意整理のデメリットとは?しないほうがいい人の特徴と後悔しないためのチェックポイント

任意整理の流れ

ステップ

任意整理の流れは以下の通りです。

  1. 弁護士や司法書士に相談
  2. 依頼決定
  3. 受任通知の送付・取引履歴の開示請求
  4. 利息制限法に基づいた引き直し計算・(過払い金があれば)過払い金返還請求
  5. 弁済原資金の積み立て
  6. 和解案の作成・送付、和解交渉
  7. 和解契約の締結
  8. 返済開始
  9. 完済

任意整理にかかる期間は最短3ヶ月です。和解後は3年〜5年以内で借金を返済していくことになります。完済するまでは信用情報に傷がつくことになりますが、今よりも月々の返済額を大幅に減らすことができるので悩みは解消されるでしょう。

事情を誠実に説明し、きちんと準備して任意整理に臨めば、早期の解決が可能となります。

詳細についてはこちらの記事で解説しています。

任意整理の手続きと流れを解説|専門家に依頼する際の費用やメリットも紹介!

任意整理が向いている人

任意整理が向いている人の特徴は以下の通りです。

  • 借金の総額がそこまで高額でない人
  • 借金の返済のほとんどが利息で元金が減らない人
  • 長期間の滞納で一括請求された人
  • 安定した収入がある人
  • 家や車を残して債務整理がしたい人
  • 連帯保証人がいない借金がある人
  • 会社や家族にバレずに借金を減額したい人

それぞれについて解説します。

借金の総額がそこまで高額でない人

任意整理は、借金の総額があまり高くない人におすすめの債務整理です。「債務額÷36」の金額を支払うことができる場合には、任意整理が適していると言えるでしょう。

この金額を支払うことができない場合には、個人再生や自己破産を検討する必要があります。

ただ、借金の総額が少額でも債権者との交渉次第では、任意整理が難航するリスクがあります。任意整理を成功されるためにも、弁護士や司法書士などのプロに相談しましょう。

借金の返済のほとんどが利息で元金が減らない人

任意整理は、借金の返済のほとんどが利息で、元金が減らない人に適しています。特に多重債務者の場合は毎月の返済のほとんどが利息で借金の元本がなかなか減らない状況に陥ってしまいがちです。

このような状況では、いくら返済を続けても、借金は減りません。

任意整理を行うことで利息を大幅にカットし、元金の返済ができるようになります。

長期間の滞納で一括請求された人

任意整理は、クレジットカードの借金などを長期間滞納して一括請求されてしまった人にもおすすめです。

任意整理では、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、一括請求を取り下げてもらい、分割払いに変更することができます。返済資金を一括で用意することができない場合には、任意整理を検討してみてください。

安定した収入がある人

任意整理は、安定した収入がないとできません。給与所得や年金など安定した収入があり、借金の返済に困っている場合には任意整理を検討しましょう。

毎月の収入と支出を考慮した返済計画を立てることができるので、無理なく借金を返済することができます。

家や車を残して債務整理がしたい人

任意整理は、家や車を残して債務整理をしたい人にもおすすめです。

自己破産は借金をゼロにすることができますが、家や車などの財産を処分する必要があります。特に持ち家は生活の基盤として必要な資産のため、できることなら手放したくないと考える人が多いでしょう。

そのような場合には任意整理がおすすめです。任意整理では債務者の資産を処分せずに債務の減額を図ることができます。

連帯保証人がいない借金がある人

任意整理は、連帯保証人がいない借金がある人におすすめの債務整理です。

連帯保証人がいる借金を任意整理すると、債権者は連帯保証人に借金の返済を要求することになります。そのため、連帯保証人がいる借金を任意整理すると連帯保証人との関係が悪化するリスクがあります。

連帯保証人がいる借金をどうしても任意整理したい場合には、任意整理手続きに入る前に連帯保証人に任意整理手続きを検討していることを伝えましょう。迷惑をかけてしまうことをきちんと伝え、納得してもらってから手続きに入りましょう。

会社や家族にバレずに借金を減額したい人

任意整理は、会社や家族にバレずに借金を減額したい人におすすめです。

任意整理では、弁護士や司法書士が債権者との交渉を代理で行います。このため、債務者が直接債権者と対峙する必要がありません。また、手続き中に、会社や家族に連絡が行くこともありません。

仕事に影響を与えずに借金を減額したい場合には、任意整理がおすすめです。

任意整理が向いていない人・しないほうがいい人

向いてない人

任意整理が向いていない人・しないほうがいい人の特徴は以下の通りです。

  • 借金の総額が30万円以下の人
  • 借金の総額が高額な人
  • 収入がなく無職な人
  • 奨学金の返済で困っている人
  • 低金利で借金をしている人
  • 差し押さえ(強制執行)の準備がスタートしてしまっている人
  • 任意整理に応じない業者から借金をしている人

それぞれについて解説します。

借金の総額が30万円以下の人

借金の総額が30万円以下の場合、任意整理を行うメリットは少ないと言えます。任意整理をする際には弁護士や司法書士へ報酬を支払う必要があるため、費用対効果が低くなるためです。

また、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、ブラックリストに載ることになります。メリットよりもデメリットの方が大きくなるため、借金の総額が少ない場合には任意整理などの債務整理をしない方がいいでしょう。

任意整理をしない方がいい人はこちらの記事で詳しく解説しています。

任意整理のデメリットとは?しないほうがいい人の特徴と後悔しないためのチェックポイント

借金の総額が高額な人

逆に、借金の総額が高額すぎる人も任意整理はおすすめできません。任意整理は原則3年間で借金の完済を目指します。そのため、36回の分割払いで借金を完済する目処が立たない場合には、別の債務整理を検討した方がいいでしょう。

以下は、任意整理の1ヶ月の分割払い金額と36回支払った時の返済総額の表です。

1ヶ月の分割払い金額36回支払った時の返済総額
1万円36万円
2万円72万円
3万円108万円
5万円180万円
8万円288万円
10万円360万円
15万円540万円
20万円720万円
30万円1,080万円

利息カットを行っても、36回支払った時の返済総額が自分の返済可能額を上回る場合には、別の債務整理を検討しましょう。

あなたにあった債務整理を選択できるように、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみてください。任意整理に固執せず、最適な方法を選びましょう。

収入がなく無職な人

無職で収入がない場合には、任意整理はおすすめできません。任意整理は、債務者の返済能力を元に返済計画を立て、原則3年間の分割払いで借金完済を目指す債務整理です。

安定した収入がない場合には、返済計画を立てることができません。このような場合には、自己破産を検討しましょう。

なお、弁護士や司法書士に相談をすることで、収入がない状態を改善するための支援制度を紹介してもらえることもあります。生活の立て直しを図るためにも、まずは専門家に相談してみてください。

奨学金の返済で困っている人

奨学金の返済に困っている場合には、任意整理はおすすめできません。

任意整理は、あくまでも私的な債務整理の手続きであるため、奨学金の返済に適用することは難しいと言えます。奨学金の債権者である日本学生支援機構は、任意整理に応じない方針を取っているためです。

奨学金の返済で困っている人は、まずは日本学生支援機構に相談してみてください。日本学生支援機構では、返済期間の猶予や月々の返済額の減額など、様々な支援制度を用意しています。

低金利で借金をしている人

低金利で借金をしている人も、任意整理はおすすめできません。任意整理では、借金の利息を減額することを目指す債務整理です。そのため、低金利の借金の場合にはメリットがほとんどありません。

低金利の借金の例

  • 住宅ローン
  • 公的教育ローン
  • 公的融資(日本政策金融公庫、商工組合中央金庫など)
  • 信用保証協会付き融資
  • 生命保険会社の保険契約者貸付
  • 社内融資・社員貸付制度

低金利の借金の返済に苦しんでいる場合には、まずは債権者との直接交渉を試みることをおすすめします。返済期間の延長や、月々の返済額の減額などに応じてくれるかもしれません。

差し押さえ(強制執行)の準備がスタートしてしまっている人

差し押さえ(強制執行)の準備がスタートしてしまっている場合にも、任意整理はおすすめできません。差し押さえは、裁判所の手続きを経て、債務者の財産を強制的に処分し、債権の回収を図る手続きです。

​​差し押さえ(強制執行)の準備がスタートしてしまっている場合には、差し押さえの方が確実にお金を回収できると判断され、任意整理に応じてもらえない可能性が高いです。

そのような場合には、個人再生や自己破産手続きを行いましょう。

差し押さえの準備がスタートしてしまっている人は、時間との勝負になります。できるだけ早く弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。

任意整理に応じない業者から借金をしている人

任意整理に応じない業者から借金をしている場合には、任意整理は適していないと言えるでしょう。任意整理は、あくまでも債権者との合意に基づく手続きです。このため、債権者が任意整理に応じない場合、手続きを進めることができません。

なお、任意整理に応じない業者は以下の通りです。

会社名住所
アペンタクル株式会社栃木県宇都宮市下戸祭2丁目3番25号
株式会社ギルド大阪府大阪市淀川区西中島5-7-11
株式会社クレディア静岡県静岡市駿河区南町10番5号
株式会社日本保証東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー7階
フクホー株式会社大阪市浪速区難波中三丁目9番5号 福宝ビル
株式会社しんわ福岡市博多区中呉服町6番10号 グランスクエア呉服町5階
有限会社プラン大阪市浪速区難波中二丁目九番二号 リバーライズ難波ビル4階
ライオンズリース株式会社愛知県名古屋市中村区名駅5丁目23-3
株式会社スペース本社:大阪府堺市堺区中瓦町2-1-15 エスト瓦町ビル3F
AZ株式会社京都府京都市下京区綾大宮町50
株式会社アイシンクレジット青森県弘前市大字末広5丁目7番1号
株式会社MEDS CLN(メッズクラン)北海道札幌市中央区南一条西6丁目 札幌北辰ビル

任意整理をする時の弁護士・司法書士事務所の選び方

スーツを着ている男性

任意整理をする時の弁護士・司法書士事務所の選び方は以下の通りです。

  • 任意整理の実績や経験が豊富か
  • 任意整理にかかる費用を明確に提示してくれるか
  • 弁護士・司法書士との相性がいいか
  • 支払いができない場合は法テラスの利用がおすすめ

それぞれについて解説します。

任意整理の実績や経験が豊富か

任意整理を依頼する際は、弁護士・司法書士事務所の実績を確認しましょう。任意整理は債権者との交渉で借金減額を目指す債務整理なので、事務所の交渉力がとても大切です。

事務所の実績や経験は、ホームページやパンフレットなどで確認することができます。任意整理の取扱件数や、成功事例などを確認しましょう。

任意整理にかかる費用を明確に提示してくれるか

任意整理を正式に依頼する前に、任意整理にかかる費用を提示してくれる事務所を選びましょう。任意整理にかかる費用は、事務所ごとに異なります。

費用の内訳や支払い方法などを丁寧に説明してくれる事務所は、債務者に適切な債務整理を提案してくれる可能性が高いです。安心して任意整理を依頼できる事務所で任意整理手続きを進めるようにしてください。

弁護士・司法書士との相性がいいか

弁護士・司法書士との相性もとても大切です。相性の良い弁護士・司法書士は、あなたの話に耳を傾け、不安や疑問に丁寧に答えてくれます。

弁護士・司法書士との相性は初回相談時に確認することができるので、可能であれば複数の事務所に相談しましょう。初回相談が無料の事務所を選べば、費用の心配も不要です。

任意整理をする際におすすめの弁護士は以下の記事で解説してます。

債務整理でおすすめの弁護士・司法書士10選!費用が安い無料相談先も紹介

支払いができない場合は法テラスの利用がおすすめ

現在手元にお金がなく、弁護士・司法書士へ報酬を支払うことが難しい場合には、法テラスの利用がおすすめです。法テラスは、国が運営する法的支援制度で、経済的に余裕のない人でも、法的トラブルの解決を受けられるようにするために設立されました。

一定の基準を満たせば、費用を立て替えてもらうことができます。早急に問題解決するためにも、法テラスの利用を検討してみてください。

任意整理をするときの注意点

注意

任意整理をするときの注意点は以下の通りです。

  • 借入金額が少ないとやる意味がない場合もある
  • 返済履歴が必要
  • 保証人に迷惑をかけることになる(保証人に請求がいく)

それぞれの注意点について解説します。

借入金額が少ないとやる意味がない場合もある

任意整理は、借入金額が少ないとやる意味がない場合もあります。

一般的に借入金額が100万円以下の場合には、任意整理を行うメリットは少ないと言われています。メリットが少ないと言われる理由は、弁護士や司法書士への報酬が、借入金額に対して高額になってしまうからです。

ただし、借入金額が少なくても、複数の債権者がいる場合や、債権者との交渉が難航している場合は、任意整理が有効な場合もあります。弁護士や司法書士に相談し、任意整理手続きをやるべきかどうかを確認しましょう。

返済履歴が必要

任意整理を行うためには、返済履歴が必要です。返済履歴は、その名前の通り債務者が借入金を返済してきた履歴のことで、借金を返済する意思があることを示すことができます。

返済履歴があることで、任意整理に応じてもらいやすくなります。

返済履歴がない場合や、長期間にわたって返済が滞っている場合は、債権者との交渉が難航する可能性が高いです。返済が滞っている場合は、できるだけ早く返済を再開し、返済履歴を積み上げましょう。

保証人に迷惑をかけることになる(保証人に請求がいく)

保証人のいる借金を任意整理する場合には、保証人に迷惑がかかります。任意整理を行なっても、保証人の債務は免除されません。このため、任意整理を行うと、保証人に債務の返済が求められることになります。

保証人のいる借金を任意整理する場合には、事前に保証人に相談し、合意を得るようにしましょう。

また、保証人に迷惑をかけないように、保証人のいる借金を任意整理の対象外にすることも検討してみてください。任意整理するメリットは減ってしまいますが、迷惑をかけずに借金を減額することができます。

保証人への影響は以下の記事で詳細を解説してます。

任意整理による連帯保証人への影響は?迷惑を掛けずに借金返済する方法を解説!

まとめ

本記事では、任意整理の基本知識とメリット・デメリット、注意点について解説しました。

任意整理のメリットは以下の通りです。

  • 受任通知を発送することで債権者からの督促がストップする
  • 利息や遅延損害金をカットできる
  • 過払い金が返還される可能性がある
  • 借金の元本自体を減額できる可能性がある
  • 任意整理をする借金を選ぶことができる
  • 原則3年間での分割払いができる
  • 家族や会社にバレずに債務整理できる
  • 持ち家や車などを手放さずに借金を減額できる

任意整理は利息や遅延損害金をカットすることで将来の月々の支払いを軽減させることができますが、信用情報に傷がつく、カードを利用できなくなるなどのデメリットもあるので注意が必要です。

なお、債務急済では東京や大阪などエリア別に債務整理におすすめの法律事務所・司法書士事務所を紹介しています。こちらから法律の専門家の検索・検索結果一覧の確認ができるので、借金問題を解決したい方は比較・検討しつつ、気軽に相談してみてください。

無料で法律相談に応じている法律事務所・司法書士事務所や24時間受付対応の事務所、電話で相談できる事務所、0120から始まる電話番号の事務所、平日・土日に相談できる事務所、女性におすすめの事務所も紹介しています。

まずは悩みを相談して、払えなくなってしまった借金の対処法や問題解決のためにできることのアドバイスをいただくことをおすすめします。弁護士などの法律の専門家に調査してもらうことで、新たな解決策が見つかるはずです。

この記事に関連するよくある質問

任意整理と債務整理の違いは?

任意整理は債務整理手続きのひとつとなるため、任意整理=債務整理ではありません。

任意整理は債務整理手続きのひとつで、債務整理は、借金問題を解決するための総称(任意整理+個人再生+自己破産)です。

任意整理に応じない業者の一覧が知りたい

​​任意整理に応じない業者の一覧は以下の通りです。

会社名住所
アペンタクル株式会社栃木県宇都宮市下戸祭2丁目3番25号
株式会社ギルド大阪府大阪市淀川区西中島5-7-11
株式会社クレディア静岡県静岡市駿河区南町10番5号
株式会社日本保証東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー7階
フクホー株式会社大阪市浪速区難波中三丁目9番5号 福宝ビル
株式会社しんわ福岡市博多区中呉服町6番10号 グランスクエア呉服町5階
有限会社プラン大阪市浪速区難波中二丁目九番二号 リバーライズ難波ビル4階
ライオンズリース株式会社愛知県名古屋市中村区名駅5丁目23-3
株式会社スペース本社:大阪府堺市堺区中瓦町2-1-15 エスト瓦町ビル3F
AZ株式会社京都府京都市下京区綾大宮町50
株式会社アイシンクレジット青森県弘前市大字末広5丁目7番1号
株式会社MEDS CLN(メッズクラン)北海道札幌市中央区南一条西6丁目 札幌北辰ビル

任意整理をしなければよかったとなるケースが知りたい

任意整理の対象とならない借金が残ってしまった場合や債権者との交渉に失敗した場合には、任意整理をしなければよかったと感じることがあります。

任意整理をする前にメリット・デメリットやリスク、注意点を確認するようにしてください。

任意整理は弁護士と司法書士のどちらに依頼するべきですか?

任意整理は、弁護士と司法書士のどちらに依頼しても行うことができますが、弁護士に依頼することをおすすめします。

司法書士に任意整理を依頼する場合には、借入れが1社につき140万円以下である必要があります。また、簡易裁判所で争っていた訴訟がもつれ、地方裁判所に移行した場合には弁護士に依頼し直す必要があります。

費用はほとんど変わらないため、基本的には弁護士に依頼するべきです。

任意整理をするとクレジットカードは使えなくなる?

任意整理をするとクレジットカードは使えなくなります。

一生クレジットカードが使えない生活になるわけではありませんが、任意整理完了後5年間はクレジットカードを使えません。

クレジットカードを引き続き使える債務整理は存在しないので、自分の借金の状況を相談して任意整理をするべきか判断してください。

任意整理した際のクレジットカードへの影響の詳細は以下の記事で解説してます。

任意整理後など債務整理をしたらクレジットカードはいつから作れる?更新できたって本当?

任意整理の支払いができない時の対処法が知りたい

弁護士・司法書士へ報酬を払えない場合には、法テラスの利用がおすすめです。

一定の基準を満たせば、費用を立て替えてもらうことができます。

法テラスを利用するために満たす必要がある条件

  1. 収入や資産が一定基準以下であること
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

なお、収入要件は以下のとおりです。

家族人数収入基準資産基準
1人200,200円180万円以下
2人276,100円250万円以下
3人299,200円270万円以下
4人328,900円300万円以下

任意整理は賃貸契約に影響出ますか?

任意整理をしたとしても、家賃を支払っている賃貸住宅から追い出されることはありませんが、家賃を3ヶ月以上滞納してしまうと、強制解約されてしまうかもしれません。

(催告による解除)

第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

民法(明治二十九年法律第八十九号)

そのため、クレジットカードで家賃を支払っている場合には、任意整理をする前に支払い方法の変更を行いましょう。

任意整理をするといつから5年ブラックリストに載りますか?

任意整理をすると、以下の信用情報機関に事故情報が登録されることになります。

  1. 株式会社日本信用情報機構(JICC):手続き終了後5年間
  2. 株式会社シー・アイ・シー(CIC):手続き終了後5年間
  3. 全国銀行個人信用情報センター(KSC):手続き終了後5年間

そのため、任意整理をした場合は手続き終了後5年間は信用情報機関のブラックリスト(いわゆるブラック)に載ることになります。

任意整理した際のブラックリストへ載るかの詳細は以下の記事で解説してます。

任意整理でブラックリストに載る期間は?信用情報の回復方法も解説

任意整理におすすめの法律事務所・司法書士事務所が知りたい

任意整理におすすめの法律事務所・司法書士事務所については、以下の記事で詳しく解説しています。

より詳細な記事はこちら

借金を相続してしまったときはどうしたらいい?

亡くなった人が残した借金(マイナスの財産)は、「相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に相続放棄の申立てをしなかった場合は継承されることになります。

借金を相続してしまった場合には、債務整理を検討しましょう。相続した借金に過払金がある場合には、過払い金返還請求を行うことができます。

なお、相続対象となる借金は以下のとおりです。

  • ローン(不動産・自動車・ショッピングなど)
  • サラ金からの借金
  • クレジットカードの借金
  • 滞納税
  • 滞納家賃
  • 滞納健康保険
  • 損害賠償債務
  • 買掛金や未払いのリース料

この記事の監修者

この記事に関係するよくある質問

任意整理と債務整理の違いは?
任意整理は債務整理手続きのひとつとなるため、任意整理=債務整理ではありません。 任意整理は債務整理手続きのひとつで、債務整理は、借金問題を解決するための総称(任意整理+個人再生+自己破産)です。
任意整理をしなければよかったとなるケースが知りたい
任意整理の対象とならない借金が残ってしまった場合や債権者との交渉に失敗した場合には、任意整理をしなければよかったと感じることがあります。 任意整理をする前にメリット・デメリットやリスク、注意点を確認するようにしてください。
任意整理は弁護士と司法書士のどちらに依頼するべきですか?
任意整理は、弁護士と司法書士のどちらに依頼しても行うことができますが、弁護士に依頼することをおすすめします。 司法書士に任意整理を依頼する場合には、借入れが1社につき140万円以下である必要があります。また、簡易裁判所で争っていた訴訟がもつれ、地方裁判所に移行した場合には弁護士に依頼し直す必要があります。 費用はほとんど変わらないため、基本的には弁護士に依頼するべきです。
任意整理をするとクレジットカードは使えなくなる?
任意整理をするとクレジットカードは使えなくなります。 一生クレジットカードが使えない生活になるわけではありませんが、任意整理完了後5年間はクレジットカードを使えません。 クレジットカードを引き続き使える債務整理は存在しないので、自分の借金の状況を相談して任意整理をするべきか判断してください。
任意整理の支払いができない時の対処法が知りたい 
弁護士・司法書士へ報酬を払えない場合には、法テラスの利用がおすすめです。 一定の基準を満たせば、費用を立て替えてもらうことができます。
任意整理は賃貸契約に影響出ますか?
任意整理をしたとしても、家賃を支払っている賃貸住宅から追い出されることはありませんが、家賃を3ヶ月以上滞納してしまうと、強制解約されてしまうかもしれません。 そのため、クレジットカードで家賃を支払っている場合には、任意整理をする前に支払い方法の変更を行いましょう。
任意整理をするといつから5年ブラックリストに載りますか?
任意整理をすると、以下の信用情報機関に事故情報が登録されることになります。 株式会社日本信用情報機構(JICC):手続き終了後5年間 株式会社シー・アイ・シー(CIC):手続き終了後5年間 全国銀行個人信用情報センター(KSC):手続き終了後5年間 そのため、任意整理をした場合は手続き終了後5年間は信用情報機関のブラックリスト(いわゆるブラック)に載ることになります。
借金を相続してしまったときはどうしたらいい?
亡くなった人が残した借金(マイナスの財産)は、「相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に相続放棄の申立てをしなかった場合は継承されることになります。 借金を相続してしまった場合には、債務整理を検討しましょう。相続した借金に過払金がある場合には、過払い金返還請求を行うことができます。

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