自己破産後の住宅ローンへの影響!住宅は残せる?いつから組める?
自己破産
2026.05.15 公開 ー 2026.06.12 更新
借金の返済だけでなく債権者からの督促に長らく追われ、自己破産を検討しているものの、 「住宅ローンにどのような影響があるのか」「今の住宅はどうなるのか」といった不安を抱えていませんか。
たしかに自己破産を行うと、信用情報に「事故情報」が登録され、一定期間新たに住宅ローンを組むことは難しくなります。
しかし、過度な不安のあまり判断を先送りしてしまっては、今の債務状況がさらに悪化し、生活再建がより困難になる恐れがあります。
この記事では、自己破産後の住宅ローンへの影響や、今の住宅を守るための具体的な方法を分かりやすく解説します。
自己破産は、債務者が生活再建を図るための正当な法的手続きです。まずは、自己破産によって住宅ローンにどのような影響が生じるのか、正しく理解して不安を軽減させましょう。
この記事の目次[開く]
1. 自己破産の住宅ローンへの影響
1-1. 自己破産が住宅ローン契約に与える影響
自己破産の申し立てを行うと、現在契約中の住宅ローンは原則として強制解約されます。
住宅ローン契約には「期限の利益喪失条項」が含まれており、破産手続きを開始した時点で分割返済の権利を失うためです。
自己破産によって生じる具体的な影響は、以下の通りです。
期限の利益の喪失:分割払いの権利が消滅し、債権者から残金の一括返済が請求
保証会社による代位弁済:一括返済が難しい場合、保証会社が残金の立て替え払いを実施
債権者の移行:申し立て後の交渉や請求の窓口は、銀行から保証会社へ移行
抵当権の実行:保証会社が資金を回収するため、自宅の競売手続きが開始
連帯保証人への請求:連帯保証人がいる場合、保証人に対して残債の一括返済が請求
したがって、住宅ローンを残したまま自己破産を行い、マイホームを維持することは原則として難しいです。
1-2. 破産手続き開始から家を離れるまでのタイムスケジュール
自己破産を申し立てると、住宅ローンの返済が残っている住宅は原則として裁判所により競売にかけられるため、住宅を手放す必要があります。
競売とは、債権回収のために不動産を強制的に売却する公的な手続きのことです。
手続き開始から退去するまでの流れと期間の目安は、以下のようになります。
1〜2ヶ月:破産申し立て〜開始決定 裁判所へ書類を提出し、破産手続きが開始
2〜4ヶ月:代位弁済と競売の申し立て 保証会社が立て替え払いを行い、裁判所へ競売を申し立て
3〜5ヶ月:現況調査 裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅を訪問し、調査を実施
6〜8ヶ月:入札の開始と開札 購入希望者による入札が行われ、落札者が決定
8〜10ヶ月:所有権の移転と退去命令 落札者が代金を納付した時点で所有権が移り退去する必要
実際の流れは事案によって異なりますが、退去まで一定の準備期間が確保される場合が多いです。その間に、新居の確保や生活再建の準備を進めておくと良いでしょう。
1-3. 信用情報における「事故情報」登録の仕組み
自己破産を行うと、信用情報機関に「事故情報」が登録され、原則として一定期間は新規のローン審査に通過すること難しくなります。
主要な信用情報機関と、登録期間の違いは以下の通りです。
銀行系のローン審査で重視されるKSCの登録期間は、2022年のルール改定により10年から「7年」へと短縮されました。
これらの期間が経過し、債務者の信用情報から事故情報が削除されれば、再び住宅ローンの審査に通る可能性が高くなります。
自己破産後も、収入状況や資金計画を整えることで、将来的に住宅取得を目指すことは可能です。
2. 自己破産後も今の家に住み続ける方法
自己破産を行うと、原則として住宅ローンが残っているマイホームは手放すことになります。
しかし、競売を回避して今まで通り住み慣れた家に住み続ける方法も存在します。ここでは、自己破産の手続きと並行しながら合法的にマイホームを守るための、2つの手法を解説します。
2-1. リースバックで競売を回避する
自宅を第三者へ売却した後、賃貸借契約を結んで住み続ける「リースバック」という方法があります。
所有権は移転しますが、売却後も同じ家に住み続けられるため、生活環境を大きく変えずに済む可能性があります。
リースバックの主な特徴は以下の通りです。
買取価格は市場価格よりも低い傾向
家賃は周辺相場より高く設定される可能性あり
契約内容によっては将来的な買い戻しを定める可能性あり
抵当権者である金融機関等の同意が必要になる場合あり
また、利用にあたっては以下の点に注意が必要です。
継続して家賃を支払える安定収入が求められる場合あり
複数社を比較し、契約条件を慎重に確認する必要
手続き状況によっては裁判所や破産管財人の許可が必要になる場合あり
2-2. 親族に買い取ってもらい競売を回避する
信頼できる親族に自宅を買い取ってもらう「親族間売買」も、住み慣れた家を守るための有効な手段です。
親族に対して家賃を支払いながら住み続けるため、引っ越しによる精神的な負担を大きく軽減できます。
ただし、親族間での不動産売買を法的に成立させるには、いくつか厳しい条件をクリアしなければなりません。
親族間売買をスムーズに進めるための条件は、以下の通りです。
適正価格での売買: 不動産鑑定士などの査定を利用し、客観的な市場価格で取引を行うこと
親族の返済能力: 買い手となる親族が、単独で住宅ローン審査を通過できる継続的な収入があること
金融機関への事前相談: 親族間売買に対する融資審査は厳しい傾向にあるため、早い段階で相談すること
また、自己破産を前提として親族へ売却を進める際は、以下の法的な注意点に配慮してください。
財産隠匿疑惑を回避: 相場より著しく安い価格での売却を避けること
みなし贈与の回避: 税務署から不当な財産の移動と判定されないよう、正式な不動産売買契約書を交わすこと
明確な賃貸借契約: 将来の金銭トラブルを防ぐため、金額や支払い条件を書面で残すこと
専門家への相談: 免責許可に悪影響を与えないよう、必ず契約を行う前に弁護士へ相談すること
3. 住宅ローン再申し込みの目安時期
3-1. 住宅ローンの再申し込みができる時期の目安
住宅ローンの再申し込みが可能になるのは、破産の申し立てあるいは免責許可から「5年〜10年後」が目安となります。
信用情報から事故情報が削除される期間は、信用情報機関によって異なります。
CIC・JICC(消費者金融・信販系):免責許可から概ね5年程度
KSC(銀行系):申し立て開始から概ね7年程度
そのため、銀行系の住宅ローンについては、自己破産の申し立てから7年程度経過した後が一つの目安となります。
ただし、金融機関によって審査基準は異なり、実際には個別事情によって判断が分かれるため、注意が必要です。
3-2. 住宅ローン審査で重視されるポイント
事故情報が削除されたからといって、必ずしも新たな住宅ローンの審査に通るわけではありません。
金融機関は「継続的に安定して返済する能力があるかどうか」を厳格に確認します。
具体的には、以下の項目が確認される場合があります。
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完済時の年齢:80歳未満での返済完了が一般的な条件
健康状態:団体信用生命保険(団信)へ加入できる良好な健康状態であること
雇用形態:正社員や公務員など、安定した雇用形態が有利
勤続年数:現在の勤務先で最低でも1年(理想は3年以上)継続して働いていること
年収水準:希望借入額に対して無理のない返済負担率であること
他社借入状況:自動車ローンやクレジットカードのリボ払いなど、他の債務がないこと
また、頭金をできる限り多く用意して借入額を減らすことで、金融機関からブラスの評価をもらえる可能性があります。
3-3. フラット35の審査と注意点
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、最長35年の「全期間固定金利」の住宅ローンのことです。
他の住宅ローンと異なり、返済期間全体にわたって金利が変わらないため、将来的な経済状況の変動にも安心感があることが特徴です。また、このローンは保証人が不要であることが大きな利点として挙げられます。
フラット35は民間の金融機関とは異なる独自の審査基準を持っており、過去の信用情報よりも現在の返済能力を重視する特徴があります。ただし、審査基準は一般的な住宅ローンと比べても厳格であり、注意が必要です。
また、信用情報だけでなく官報情報等が確認される場合もあるため、十分な事前準備が必要です。
フラット35の利用を検討する際には、以下の点を意識しましょう。
短期間で複数の会社へ申し込まなないこと
信用情報回復後に申し込みを行うこと
頭金をできる限り多めに準備すること
安定収入と家計管理状況を整えること
4. 審査通過のための事前準備
自己破産の申し立てや免責許可から一定期間が経過し、新たに住宅ローンを申し込む際には、事前準備が必要不可欠です。
4-1. 個人信用情報の開示請求と成約残しの修正
新たな住宅ローンの申込を行うにあたり、ご自身の信用情報が正しく更新されているか確認することが不可欠です。
免責を受けたのに借入残高が残ったままと判断される「成約残し」があると、新たなローン審査において不利になる可能性があります。
各信用情報機関(CIC、JICC、KSC)への開示請求手順は、以下の通りです。
スマートフォンやパソコンからオンラインで開示請求を行う
本人確認書類と所定の手数料を準備する
郵送の場合は、申込書と定額小為替を窓口へ郵送する
開示報告書を取得したら、自己破産した借入先の残高が「0円」になっているか確認してください。
もし残高が残っている場合は、該当の金融機関へ免責決定通知書を提示して修正を依頼しましょう。
修正には数週間かかるため、申し込みの数ヶ月前には確認を済ませておくと安心です。
4-2. クレジットカードで実績をつくる
事故情報が削除された直後は、借入履歴が全くない「スーパーホワイト」と呼ばれる状態になります。
利用実績(クレジットヒストリー)があると、金融機関が返済能力の判断を行うえでプラスに働く場合があります。
そのため、住宅ローンを申し込む前に、小規模な取引で良好な支払い実績を積み上げておくと良いでしょう。
日常生活の中で無理なく実績を作る具体的な方法は、以下の通りです。
携帯電話の端末代金を分割払いで契約し、遅延なく支払い
デポジット型クレジットカードを活用して少額決済を実施
比較的審査が柔軟な信販系ショッピングローンを利用
月に数千円程度の利用と完済を繰り返し、半年から1年以上の良好な支払い実績を作りましょう。
ただし、一度でも引き落とし日に遅れると逆効果になる恐れがあるため、口座残高の管理は徹底する必要があります。
4-3. 確実性を高めるための自己資金(頭金)の準備
信用情報が回復するまでの間に、十分な頭金(自己資金)を用意しておくことで、継続的な返済能力を示すアピール材料を作ることができます。
借入金額が少なくなるほど毎月の返済負担も下がり、審査で重視される返済比率も改善します。
日々の家計を見直し、着実な資産形成を進めることがマイホーム再取得への近道です。
4-4. 破産免責の対象であった金融機関の利用は避ける
自己破産後に住宅ローンを申し込む際は、過去に免責の対象となった金融機関の利用を避けましょう。
信用情報における事故情報が消去されても、各金融機関が独自に保有する顧客の取引履歴が残っている可能性があり、この情報が原因で審査においてマイナスな評価につながる場合があるためです。
過去の取引履歴による審査落ちを防ぐための注意点は以下の通りです。
自己破産時に借入を免責された銀行や、その系列の保証会社は避けること
過去の対象クレジットカード会社が保証業務を担っている金融機関を避けること
過去の債権者が他行と合併した場合のデータ引き継ぎリスクも考慮すること
新たに住宅ローンの申込を行う際には、申込先を慎重に選びましょう。
5. 住宅を残すための他の債務整理の選択肢
借金の返済が苦しくても、「自己破産=必ず家を失う」と思い詰める必要はありません。マイホームを守りながら借金を整理できる、他の法的手続きも存在します。
5-1. 個人再生の「住宅ローン特則」を利用する
個人再生の「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」を利用すれば、住宅を残したまま他の借金を大幅に減らすことができます。
住宅ローンの返済は従来通り継続し、消費者金融などの他の債務を5分の1(最大10分の1)まで圧縮する仕組みです。減額された借金は、原則として3年(最長で5年)の分割払いで完済を目指します。
この特則を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
住宅の要件:本人が所有し居住している住宅であること
担保の要件:住宅ローン以外の抵当権が自宅に設定されていないこと
収入の要件:将来にわたって反復継続した安定収入が見込めること
期間の要件:住宅ローンの滞納が長期間経過していないこと
住宅ローン自体の元金や利息は減額されないため、確実に返済を続ける能力が必要です。
5-2. 任意整理で住宅ローン以外の借金を整理する
任意整理は、整理する対象の借金を選択できるため、住宅ローンを対象から外せば、マイホームを守ることができます。
住宅ローンを組んでいる銀行を対象から外し、クレジットカードなどの借金のみを交渉対象とする手法です。債権者との直接交渉により将来利息をカットし、元金のみを3〜5年で分割返済していきます。
任意整理の特徴と注意点は以下の通りです。
裁判所を通さないため手続きが迅速で、家族に知られにくい
将来利息をカットすることが目的で、残りの元金を完済できるだけの安定収入が必要
借金総額が年収の1/3以下など、比較的負債が少ない
5-3. 各債務整理方法のメリット・デメリット比較
現在の借入総額や家計の余裕に応じて、最適な手続きを冷静に選択しましょう。
どの手続きがご自身に適しているか、ご自身の状況に照らし合わせながら、慎重に判断しましょう。
ご自身だけで難しい場合は、専門家へ相談することもおすすめします。
以下の記事では、各債務整理ごとの違いをより詳しく解説しています。
6. 困ったら弁護士に相談しよう!
専門家へ相談することで、住宅ローンへの影響を踏まえたうえで、適切な債務整理の方法を検討することができます。
また、自己破産を行う際の注意点や、信用情報回復後を見据えた生活再建の計画についても、より具体的にアドバイスを受けることが可能です。
6-1. 家族に知られずに最適な解決策を提案してもらう
借金問題や自己破産の検討を家族に知られたくないと思う方は少ないでしょう。
弁護士や司法書士には守秘義務があるため、連絡方法や郵送物への配慮を受けられる場合があります。
また、専門家が債権者に「受任通知」を送付することで、貸金業者からの直接の督促が一時的に停止します。
返済を急かす郵便物や、取り立ての電話がなくなるだけでも、精神的な負担は大きく軽減されるでしょう。手続きをするうえで不安がある場合は、一人で抱え込まず専門家へ相談することをお勧めします。
6-2. 専門家への無料相談からマイホーム取得までの流れ
専門家に相談し、再びマイホームを取得するまでの一般的な流れは以下の通りです。
借金を整理した直後に家を買うことはできませんが、着実な準備を重ねれば再取得の道は十分に開けます。まずは目の前にある借金の負担をなくし、経済的な生活再建を目指しましょう。
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