自己破産
2024.03.20 ー 2025.10.14 更新
自己破産を検討している方にとって、もっとも気がかりなのが「連帯保証人への影響」ではないでしょうか。 自己破産によって債務者本人の返済義務は免除されますが、残された債務は契約に基づき、連帯保証人へ請求されることになります。 配偶者・家族・友人などが保証人となっている場合、その生活や資産に重い負担がのしかかり、人間関係に亀裂が入ることも考えられます。
本記事では、自己破産と連帯保証人の関係を法律の観点から整理し、どのような請求がなされ、どんなリスクが生じるのかを具体的に解説。あわせて、任意整理や個人再生といった「保証人への影響を抑える方法」や、保証人への伝え方、弁護士に相談すべきタイミングなどにも触れています。
自己破産を検討中の方はもちろん、保証人として不安を抱えるご家族や関係者にとっても、有益な情報をまとめました。まずはこの記事を通じて、状況を正しく把握することから始めてみてください。
こんな人におすすめの記事です。
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連帯保証人制度は、本人が返済できないときに、債権者の損失を防ぐために設けられています。そのため自己破産の時は本人だけでなく連帯保証人にも影響します。ここではその仕組みを詳しく解説します。
保証人には二つの権利が認められています。一つはまず主債務者に請求してほしいと主張できる「催告の抗弁権」で、もう一つは主債務者の財産から先に差し押さえるよう求められる「検索の抗弁権」です。
これらの権利をまとめて抗弁権と呼びます。つまり保証人には、「自分に請求する前に、まず本人に対応してほしい」と主張できる立場があります。
一方で連帯保証人にはこれらの権利が一切ありません。 債権者は主債務者と連帯保証人のどちらに対しても、いつでも債務全額の返済を求めることができます。つまり、連帯保証人は主債務者と全く同じ責任を負うことになります。その責任の重さを深く認識しておきましょう。
自己破産で免責が認められると、本人の支払い義務は免除されます。しかし、この効果は本人に限られるため、連帯保証人の債務は消えません。
主債務者が支払えなくなった時点で、債権者は連帯保証人に残りの借金全額を請求できます。たとえば借入額が3,000万円であれば、その全額が連帯保証人の負担となる可能性があります。
この仕組みは連帯保証人制度の根幹であり、自己破産を検討する際にもっとも注意すべき点の一つです。
自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士は債権者に「受任通知」を送ります。または本人が裁判所に自己破産の申立てた時点で金融機関との間の「期限の利益」を失います。
期限の利益とは、本来なら分割払いを認められる権利のことです。これを失うと、残っている借金を一括で返済しなければなりません。その結果、債権者は連帯保証人に対して、直ちに債務全額の一括請求を行うのが一般的です。
主債務者が支払いを停止したり債務整理を開始したりすると、債権者はその事実を確認し、すぐに連帯保証人への請求を開始します。具体的には、弁護士からの受任通知が届いたあと、数日から数週間ほどで「催告書」や「一括請求書」が送付されるケースが多くみられることです。
これらは内容証明郵便で送られることもあり、法的な強制力を持ち始めます。
連帯保証人が請求に応じない場合、債権者は「督促状」の送付を重ね、最終的には裁判所を通じて「支払督促」や「訴訟」といった手続きに移行します。その結果、法的措置が取られ連帯保証人の預貯金や給与、不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。
連帯保証人に請求されるのは、借入の「元本」だけではありません。以下の要素が加算されます。
損害遅延金は通常の利息より高く、年14~20%に達することもあり、支払いが遅れるほど負担も大きくなります。たとえば元本が1,000万円残っていた場合でも、未払い利息や遅延損害金が重なると、請求額が1,200万~1,300万円に増えることもあります。連帯保証人は、この増額分を含む全額について支払い義務を負います。
連帯保証人も請求に応じられない場合、最終的には自ら債務整理を検討せざるを得なくなります。選べる方法は主債務者と同じで「任意整理」「個人再生」「自己破産」です。
いずれの場合を選んでも、連帯保証人の生活や信用情報には大きな影響が生じます。だからこそ、できるだけ早く弁護士に相談し、状況に合った最善の解決策を見つけることが大切です。
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債務整理を検討しているけど、保証人や連帯保証人への影響が気になるという方、ぜひご覧ください。 この記事では、任意整理と保証人・連帯保証人の関係や影響を詳しく解説し、対応策をご紹介します。これから任意整理を検討している方も […]
自己破産は、本人の生活だけでなく、連帯保証人にも直接的な影響を及ぼす重大な手続きです。そのため、手続きを進める前には保証人となっている方へ状況を正確に説明し、誠意をもって向き合うことが欠かせません。ここでは連帯保証人への対応と、家族を交えた解決策の進め方について解説します。
連帯保証人への説明は、感情的にならず、冷静かつ客観的な事実に基づいて行うことが大切です。説明のタイミングは債権者からの請求が届く前、できるだけ早い段階が望ましいでしょう。事前に状況を共有すれば連帯保証人も心の準備ができ、対応を検討する時間が持てます。
説明すべき内容は、次のように整理できます。
加えて、誠実な謝罪の姿勢が欠かせません。形式的な言葉ではなく、借入に協力してもらったことへの感謝と、迷惑をかけることへの真摯な反省を伝える必要があります。そのうえで「今後の対応を一緒に考えていただきたい」という協力の姿勢を示すことが重要です。
なお、法的に複雑な部分は弁護士を交えて説明すると正確な情報が伝わり、連帯保証人の不安を軽減する上で非常に有効です。
連帯保証人が家族である場合、影響を最小限に抑えるには家族全体で解決策を検討する姿勢が必要です。まずは連帯保証人の収入や貯蓄、資産、既存の借入を確認し、どの程度の負担に対応できるかを冷静に判断します。
連帯保証債務の金額が大きく、個人での対応が難しい場合は、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理を検討することになります。主債務者と連帯保証人が同時に、または連携して進めれば、債権者との交渉を有利に進められる場合もあります。
さらに、家族間での資産整理や家計の見直しも有効です。生活費の削減や家族の協力は経済的な負担を減らすだけでなく、精神的な支えにもつながります。
加えて連帯保証人が交渉に積極的に関与し、返済意思を示すことで柔軟な条件を引き出せる可能性もあります。ただし、法的対応には専門知識が不可欠なため、弁護士のサポートを得ながら進めることが重要です。
自己破産すると連帯保証人はどうなる?債務整理の影響と対処法を徹底解説
自己破産を検討している方にとって、もっとも気がかりなのが「連帯保証人への影響」ではないでしょうか。 自己破産によって債務者本人の返済義務は免除されますが、残された債務は契約に基づき、連帯保証人へ請求されることになります。 […]
自己破産は債務を全額免除する強力な手続きですが、連帯保証人の影響が大きいのが難点です。しかし、連帯保証人の負担を軽減できる可能性がある債務整理の方法もあります。それぞれの手続きの特徴や注意点を整理し、メリットとデメリットを比較して解説します。
任意整理とは債権者と直接交渉し、将来利息のカットや長期分割弁済で負担を軽くする手続きで、最大の特長は整理する借金を選択できる点にあります。
連帯保証人がついている借金を対象から外し、これまで通り返済を続ければ連帯保証人への請求を防ぐことができます。一方で、連帯保証人がいないクレジットカードの借金や消費者金融の借金だけを整理し、ご自身の返済負担を減らすこともできます。
ただし、この場合は対象から外した借金をすべて返済しなければなりません。安定した収入があり、完済の見込みがあることが前提です。交渉に応じるかは債権者ごとに異なりますが、弁護士が介入することで合意に至る可能性は高まります。
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続きです。一般的には総額を5分の1から10分の1程度に圧縮し、残額を3年~5年で分割返済します。最大のメリットは、住宅ローン特則を利用すれば自宅を手放さずに済む可能性がある点です。安定収入がある方を対象としており、事業を続けながら再建を目指す場合に有効です。
しかし、個人再生はすべての借金が対象となり、連帯保証人付きの借金も例外ではありません。本人の返済額が減っても、債権者は連帯保証人に対して元の金額で請求できます。そのため、事前に保証人へ説明し、対応策を一緒に検討することが欠かせません。
また、個人再生には「清算価値保障原則」があり、自己破産の場合に債権者が受け取れる額を下回る返済は認められません。資産状況によっては減額の幅が制限される点にも注意が必要です。
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債務整理の各手続きは、それぞれ異なる特徴を持ちます。ご自身の状況、そして連帯保証人の方の状況に最も適した方法を選択するため、主要なポイントを比較して整理しましょう。
住宅ローンがあると、選ぶ債務整理の方法によっては自宅を失う可能性があります。
自宅は生活の基盤であり、連帯保証人がついているケースも少なくありません。住宅ローンの扱いは、とくに慎重に判断することが重要です。
債務整理の方法ごとに、成功のしやすさや手続きにかかる期間は異なります。
いずれの手続きも状況や債権者によって変わるため、弁護士に相談し具体的な見通しを確認することが重要です。
債務整理の方法ごとに、どのような利点と注意点があるのかを整理しました。まずはメリットとデメリットを比較してみましょう。
次に連帯保証人の影響と、どんな人に向いている手続きなのか解説していきます。
連帯保証人がいる場合、影響の大きさが手続きごとに大きく異なります。保証人の負担をどの程度考慮するかも、手続きを選ぶうえでの重要な判断材料になります。確実な判断をするためには、専門家である弁護士に相談し、今後の見通しを明らかにしておくことが欠かせません。
債務整理は、相談の時期や依頼する弁護士の選択によって結果が大きく変わります。特に連帯保証人が関わる場合は、専門性のある弁護士の助言を早期に受けることが不可欠です。ここでは、適切な相談のタイミング、弁護士選びの要点、無料相談で確認すべき質問について解説します。
「まだ大丈夫かもしれない」「弁護士に相談するのは大げさだ」と思う方もいますが、債務整理を意識した時点で相談するのが最適なタイミングです。特に連帯保証人がいる場合、時間が経つほど選択肢が狭まり、保証人の負担が大きくなるリスクがあります。
早めに相談することで、次のようなメリットが得られます。
月々の返済が収入の3分の1を超えている、滞納が続いている、あるいは複数の借金で自転車操業になっている場合は、すぐに弁護士へ相談するべき時期と言えるでしょう。多くの法律事務所では初回相談を無料で受け付けています。費用の心配をせず、まずは一度相談してみることを強くおすすめします。
連帯保証人が関わる債務整理では、通常のケース以上に専門性が求められます。そのため、弁護士選びは特に慎重に行う必要があります。選ぶ際には以下の4つのポイントを押さえましょう。
連帯保証人が関わる債務整理では、経験・専門性・費用面・サポート体制の4点を確認することが大切です。適切な弁護士を選ぶことで、本人と保証人の双方にとって最も負担の少ない解決策を導くことができます。
多くの事務所では初回相談を無料で行っています。複数の事務所で相談内容を比較し、自分に合った弁護士を選ぶことをおすすめします。
無料相談は限られた時間の中で重要な情報を得る貴重な機会です。事前に準備をして臨むことで、相談の質が大きく変わります。相談前にあなたが用意しておく情報は以下の通りです。
無料相談では以下のような質問をして疑問点を解消しておきましょう。
これらの質問を通じて、弁護士の専門性や対応姿勢、費用の妥当性、そしてご自身や連帯保証人に最も合った解決策を見極めることができます。
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自己破産により借金の返済義務は免除されても、連帯保証人が肩代わりした事実は残ります。そのため、法的義務はなくとも道義的な責任として、次のような対応を検討することが望ましいでしょう。
これらの対応は義務ではありませんが、信頼関係を取り戻し今後の良好な関係を築くために大切な姿勢です。
連帯保証人も債務を支払えない場合は、自ら債務整理を検討することになります。その際、主債務者として積極的に協力する姿勢が欠かせません。
これらの協力は、手続きをスムーズに進めるだけでなく、連帯保証人との信頼関係を保つためにも重要です。
一度は大きな迷惑をかけた関係を修復するには、時間と継続的な努力が欠かせません。以下の点を意識して取り組むことが大切です。
長期的な関わりの中で誠意を示し続けることが、関係修復への確かな道筋となります。未来を見据え、信頼を一歩ずつ積み重ねていく姿勢が何より求められます。
自己破産後の対応や、連帯保証人との関係に不安があるときも弁護士への無料相談を活用してみてください。あなたの状況に応じて、最適な選択肢を一緒に考えてくれるはずです。
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弁護士に相談すれば、状況を総合的に判断したうえで任意整理・個人再生・自己破産といった選択肢から最適な方法を提案し、連帯保証人への影響を最小限に抑える戦略を立ててくれます。さらに、債権者からの督促を止め、複雑な手続きを代行し、必要に応じて連帯保証人との話し合いにも同席してもらえるため、精神的負担の軽減にもつながります。
今の不安を一人で抱える必要はありません。法的な知識と経験を持つ弁護士が、あなたと保証人の双方にとって最も負担の少ない道を導いてくれます。
この記事の監修者
株式会社WEBYの債務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に債務整理の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。
この記事に関係するよくある質問
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