お金の悩み
2026.04.30 ー 2026.04.30 更新
会社の廃業を決断したとき、残った借金がどうなるのか不安ではありませんか。
法人破産で会社の債務は消滅しますが、経営者が連帯保証人になっていれば個人に返済義務が残ります。手続きの選択を誤ると、財産隠しや偏頗弁済とみなされ、経営者自身が法的責任を問われるリスクもあるでしょう。
この記事では、会社廃業時に選べる3つの清算手続きの違いと、法人破産の具体的な5ステップ、経営者個人への影響や手元資金を守る方法までをわかりやすく解説します。
こんな人におすすめの記事です。
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会社を廃業する際の清算手続きは、会社の財務状況によって以下3つの方法に分かれます。
借金を完済できるかどうか、債権者の同意を得られるかどうかで、選べる手続きは大きく変わります。自社の財務状況に近い手続きから確認してみてください。
法人破産とは、支払不能に陥った会社が裁判所の手続きを通じて全資産を清算し、法人格ごと消滅させる制度です。手続きが完了すれば、銀行融資・買掛金・リース残債など会社名義の借金はすべてなくなります。
「支払不能」の判定基準は、弁済期が到来した債務を一般的に返済できない状態かどうかです。法人の場合は債務超過(負債が資産を上回る状態)も破産開始の原因になります。
法人破産の主なメリットとデメリットは次のとおりです。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 借金 | 法人の債務が全額消滅 | 経営者個人の保証債務は残る |
| 経営責任 | 清算完了後は責任から解放 | 官報に破産情報が掲載される |
| 費用・期間 | 弁護士主導で手続きが進む | 予納金含め50万〜数百万円かかる |
官報掲載を気にされる経営者は多いのですが、実際に官報を日常的に確認している人はごく限られます。現在の借金を放置して膨らませるリスクと比べれば、法人破産は再出発への現実的な手段です。
法人破産と代表者個人の責任関係について詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
会社が倒産した時に残った借金は誰が負う?法人と代表者の責任を解説
「倒産を考えているが、会社の借金はどうなるのか不安…」そんな悩みを抱えている経営...
特別清算は、清算中の株式会社に債務超過の疑いがある場合に利用できる手続きです。合同会社や合名会社は対象外のため、法人形態の確認が最初のステップになります。
手続きを進めるには、協定案について出席債権者の過半数かつ総債権額の3分の2以上の同意が必要です。法人破産と比べて手続き期間が短く、官報に「破産」の文字が載らないためブランドへの影響を抑えやすい点がメリットです。
一方、主要債権者である金融機関から同意を得るハードルは高い傾向にあります。債権放棄に理事会決議が求められるほか、安易な免除は返済意欲のない企業を生みかねないと懸念されるためです。
債権者の同意が得られなかった場合は、法人破産へ移行する流れになります。特別清算を検討する際は、事前に主要債権者へ打診し、同意の見込みを確認してから申立てに進めるのが得策です。
通常清算は、会社の資産が負債を上回り、借入金や買掛金をすべて自力で返済できる場合にのみ選べる廃業手続きです。
裁判所の関与が不要なため、最短3ヶ月ほどで手続きが完了します。費用は登録免許税や官報公告費などの法定実費で約8万円、司法書士・税理士への依頼費用を含めた総額では40万〜90万円程度が目安です。債権者との交渉も基本的に発生しません。
ただし、債務超過の状態では通常清算を選べません。親会社等の債務免除により残余財産をゼロに調整すれば可能です。それが難しい場合は法人破産か特別清算を選ぶことになります。
一方で、遊休資産の売却や売掛金の回収を進めた結果、債務を完済できる見通しが立てば通常清算に切り替えられるケースもあります。
帳簿上の資産評価と実際の売却見込額にはズレが生じやすいため、自社の財務状況を正確に棚卸ししたうえで、清算時の回収見込額をもとに通常清算で進められるかどうかを税理士や弁護士と一緒に見極めてください。
会社の清算について、実際に寄せられた相談を見てみましょう。専門家プロファイルでは、借金が残っている状況での廃業に関する質問に、弁護士の木本寛さんが回答しています。
| 質問 |
|---|
| ご指南何卒よろしくお願い申し上げます。 私が代表として法人で飲食店を運営しておりましたが、閉店することとなりました。 今後、この法人を使用してビジネスをすることは御座いませんので、いかに費用を少なく処理するかを考えております。 取引に関わる支払いは全て完了しておりますが、開業時に銀行から借り入れた負債が残っております。 銀行へは実態を伝え、現状の契約(会社名義)での返済計画を了承頂きました。 返済は残り約5年です。 会社を休眠扱いとし、国・府・市に毎年申告を行い、税金を免除頂くことを考えております。この件は各税務署に既に相談し、凡その理解を得た状況です。 これは、銀行への返済で支払利息がある為、費用を計上する必要があると思ったためです。ですので、毎年、税理士さんにお願いし決算書の作成をお願いすることになるかと思うのですが、当然費用がかかります。 この状況(銀行への返済がある状況)で、廃業届を出し、申告をせずに済ます方法はとり得るものでしょうか。 また、仮に税務署などに廃業届を出した場合、法務局に会社をたたむ届け出を出すことを求められるそうなのですが、実施しなくても問題ないと伺いました。この実態についてもアドバイス頂ければ幸いです。 |
| 回答(要約) |
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| 法人に「廃業届」という制度はなく、解散による清算か自己破産しかありません。債務超過の状態では清算手続きができないため、まずは銀行への返済を完了させることが先決です。返済完了後に解散・清算手続きを行うのが良いでしょう。なお、会社を廃業しても清算が完了するまでは税務申告の義務は残ります。収入がない場合はご自身で申告することも可能ですが、専門家である税理士に相談することをおすすめします。 |
会社の借金問題を抱えながら廃業手続きを推進するのは、精神的にも経済的にも大きな負担が伴います。今回のように、一定の法的知識が必要な場面も少なくありません。女性経営者の方やご家族も一人で悩まず、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。当サイトでは、相談無料、初期費用0円で対応してくれる全国の弁護士・司法書士を掲載しています。あなたの再出発に役立つ新たな解決策がきっと見つかります。

法人破産の各ステップで経営者が取るべき行動と弁護士が担う役割を把握しておけば、見通しを持って手続きを進められるでしょう。
法人破産の手続きステップは、以下の5つです。
ステップごとに流れを順番に確認していきましょう。
法人破産の手続きは、弁護士へ相談するところから始まります。申立書類の作成や裁判所とのやり取り、債権者への対応など、経営者が一人で処理するには負担が大きすぎます。
以下の資料は、初回相談から申立書類の作成まで一貫して必要です。早めに準備しておくと手続きがスムーズに進みます。
弁護士に依頼すると、まず各債権者へ「受任通知」が発送されます。貸金業者や債権回収会社に対しては法律上の取立て禁止効果があり、それ以外の債権者も実務上は督促を控えるのが一般的です。
法人破産を扱う事務所のなかには初回相談を無料で受け付けているところもあります。弁護士報酬の相場は50万〜150万円程度です。裁判所への予納金を含めた総額は70万〜数百万円になるため、見積もりは早めに取っておくと安心です。
自己破産の手続き全体の流れや必要書類については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
自己破産の手続き完全ガイド|流れ・必要書類・費用までわかりやすく解説
毎月の返済が苦しくて、もうどうしていいか分からない。そんな状況でも、自己破産とい...
労働基準法第20条により、会社は解雇日の30日以上前に予告するか、30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があります。破産手続きでは資金に余裕がないケースが多いため、弁護士と相談のうえ、予告期間と手当の組み合わせで対応するのが現実的です。
解雇通知書には解雇日・解雇理由・解雇予告手当の有無を明記し、従業員一人ひとりに書面で交付してください。社会保険・雇用保険の資格喪失届や離職票の発行も速やかに進めておきましょう。
会社に給与や退職金を支払う原資が残っていない場合は、国の未払賃金立替払制度を案内してください。この制度では、未払賃金の8割(年齢別に上限額あり)を独立行政法人労働者健康安全機構が立替払いしてくれます。
請求期限は破産手続開始決定日から2年以内です。法的な手順を踏めば従業員の生活を守る手段は用意されています。
弁護士が準備した書類一式を、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所へ提出します。申立書には債権者一覧表・資産目録・経営状況の説明書などの添付が必要です。
裁判官が書類を審査し、支払不能と認められれば破産手続開始決定が出されます。申立てから開始決定までの期間は、書類に不備がなければ数日〜2週間程度が目安です。
開始決定と同時に、裁判所が選んだ弁護士が破産管財人として就任します。管財人はどちらの味方でもない中立の立場で、資産の調査・換価から債権者への配当まで公平に手続きを進める専門家です。
管財人の就任後は、経営者にも質問への回答や資料提出といった協力義務が課されます。手続きをスムーズに進めるため誠実に対応してください。
管財人は会社のすべての財産を管理下に置き、一つひとつ評価したうえで、任意売却や解約、債権回収などの方法で現金化を進めます。換価の対象は不動産・自動車・預貯金・売掛金・保険の解約返戻金・在庫・機械設備・有価証券などです。
開始決定からおおむね2〜4ヶ月後に、第1回の債権者集会が裁判所で開かれます。債権者集会とは、管財人が換価の進捗や破産に至った経緯を報告し、債権者からの質問に答える場です。
経営者には出席義務があり、破産の原因や資産状況について誠実に説明しなければなりません。虚偽の報告や財産の隠蔽が発覚すれば、免責不許可事由に該当する恐れがあります。
換価が完了すると、管財人報酬や手続費用が最優先で差し引かれ、次に未払賃金や税金などの優先債権へ弁済されます。それでも残余がある場合に限り、一般債権者へ按分で配当されます。中小企業の破産では配当に至らず手続きが終了するケースも少なくありません。
開始決定から終結までの期間は半年〜1年程度が目安です。資産の種類や売却先の確保状況によって前後します。法的手続きに沿って事実を伝える場のため、落ち着いて臨んでください。
配当がすべて完了すると、裁判所が破産手続終結決定を出します。この決定によって法人格は法的に消滅します。
残っていた借金も同時に消滅するため、債権者はもはや会社に対して一切請求できません。
廃業のゴールは「終わり」であると同時に、次の一歩を踏み出せる地点でもあります。手続きが完了したら、必要な届出を漏れなく済ませたうえで、新たな道を検討してみてください。
専門家プロファイルでは、会社の破産に伴う従業員の未払い給与について、司法書士の鮫川 誠司さんが回答しています。
| 質問 |
|---|
| 勤めていた会社が自己破産し倒産しました。退職金と未払いの給料の一部を債権届出書で破産管財人に申告しています。 質問1.支払がされるのは債権者集会が終了した後なのでしょうか? 質問2.支払がされる額は当然破産の状況や管材業務の結果によるものであると思いますが、一般的に何%程度支払われるものなのでしょうか? ご返答よろしくお願いします。 会社の財産的には税金などの滞納もなく、管材できる商品の額は全従業員の労働債権額よりははるかに多いであろうと思います。 |
| 回答(要約) |
|---|
| 破産手続開始前の最後の3ヶ月分の給与や退職金の一部は「財団債権」となり、破産管財人から随時支払いを受けられます。それ以外の給与は「優先的破産債権」として配当手続きで支払われますが、裁判所の許可で早期に弁済される制度もあります。また、会社の財産で支払いきれない場合は、国の未払賃金立替払制度を利用して、未払い額の8割(上限あり)を受け取れる可能性があります。 |
日本の法制度において法人破産の手続きは複雑で、従業員への対応など経営者一人で抱え込むには大きな負担が伴います。専門家へ相談すれば関連する手続きを任せられるだけでなく、精神的な不安も軽減されるでしょう。
当サイトでは、相談無料、初期費用0円で対応可能な全国の弁護士・司法書士をご紹介しています。まずは気軽に現状をお話しください。

正規の破産手続きを知っていても、追い詰められた状況では判断を誤りやすくなります。知らずにやってしまったでは済まず、免責の否認や刑事罰につながる行為もあるため注意が必要です。
借金を抱えた廃業で経営者が避けるべきNG行動は、以下のとおりです。
正しい手続きとの違いをここで確認しておきましょう。
特定の取引先にだけ優先して返済する行動は、偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼ばれます。破産法では債権者平等の原則に基づき、すべての債権者へ公平に配当しなければなりません。
偏頗弁済が判明すると、破産管財人が否認権を行使し、返済済みの金銭をその取引先から強制的に回収します。恩義に報いるつもりの返済が、かえって相手に返金義務を負わせる結果になりかねません。
経営者個人にとっても偏頗弁済は免責不許可事由に該当し、免責が認められなければ連帯保証債務を個人で背負い続けることになります。弁護士に相談し、すべての債権者を平等に扱う正規の手続きを進めてください。
偏頗弁済の具体的な問題点や破産手続きでの取り扱いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
偏頗(へんぱ)弁済とは?自己破産や個人再生でやってはいけない「偏頗弁済」を徹底解説!
自己破産や個人再生を考えているが、どうしても気になるのは、偏頗弁済の問題です。偏...
破産直前に会社の現金を引き出したり知人や親族へ資産を安値で譲渡したりする行為は、破産法265条の詐欺破産罪(財産を隠匿・損壊して債権者を害する犯罪)に該当します。刑罰は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方です。
破産手続きでは、破産管財人が預金口座の入出金履歴・不動産登記・取引先との契約書まで徹底的に調査します。隠したつもりの資産が発覚すれば、免責不許可にとどまらず刑事事件として立件されるリスクが現実に存在します。
有罪判決を受ければ前科がつき、経営者としての社会的信用は失われます。取締役の欠格事由にも該当するため、再び会社を興す機会も大きく狭まるでしょう。
資金繰りに追い詰められても、自己判断で会社の財産を動かす一線は越えてはなりません。
借金を放置しても、債務は1円も減りません。むしろ遅延損害金が日々加算され、負債総額は膨らみ続けます。
たとえば借入残高3,000万円に対して年14.6%の遅延損害金が発生した場合、3ヶ月放置するだけで利息が約109万円増加します。
債権者側も催告書の送付、訴訟提起、判決後は経営者個人の給与や預金口座の差押えへと進みます。連帯保証を付けている場合、会社が消えても経営者個人への請求は止まりません。
夜逃げを選べば、従業員への給与未払いや取引先からの損害賠償請求、社会的信用の喪失など、家族や周囲まで巻き込む二次被害にもつながります。
正規の破産手続きに移行すれば、受任通知の発送で債権者からの直接請求が止まり、遅延損害金の膨張にも歯止めがかかります。動けるうちに専門家へ声をかけてください。
Yahoo!知恵袋では、会社の廃業に際し、経営者が行った財産処分について、後々問題にならないか不安に思う従業員からの声が見られました。
| 質問 |
|---|
| 長年(20年)務めた会社が倒産してしまった事についての質問です。 社員は自動的に会社都合の「解雇」扱いで退社しましたが、退職金の支払いは具体的な数値は記載されていませんが、就業規則には『従業員の退職金は、勤続年数及び人事考課により支給額を決定する。』となってました。それにより、社長は資金繰り悪化による借金返済不可能な状態での倒産、廃業なので自己破産を考えて弁護士を頼みながら破産申請する前に(財産処分)をして会社に資金が無くても取締役社長としてこれまで頑張ってくれた社員達に少しでもお詫びと感謝気持ちを込めて退職金を全従業員に少額でも支給してくれました。自分の会社は運送会社だったのでトラック(動産)を全台数を売却してその費用を全従業員の退職金として捻出して充てたのですが、その後に恐らくは法人破産なので【破産管財人弁護士】が更に裁判所から配属されると思いますが、この倒産、破産申請を行う前に例え従業員の退職金の為の費用捻出の為に動産、資産売却『財産処分』を行ってもその売却した費用を【破産管財人】がその行為が発覚しても貰った全従業員、自分達に後に(返金、回収)などの指示や連絡は来ないでしょうか?自分が思うに上記の様な行為は余りよろしくない行為と感じてるのですが・・・この様な退職金を貰っても安心してこの費用を使って良いものか正直、迷っています。最後に話をまとめること後々、会社、【破産管財人】から〔この費用を一旦、返金して欲しい〕となってしまうかが非常に心配しています。どなたか詳しい方のご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。 |
このように、廃業や破産の手続きは非常に複雑です。経営者の善意の行動が意図せず法的な問題に発展し、従業員まで不安にさせてしまうケースがあります。
正しい手続きで問題を最小限に抑えるためにも、まずは専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

会社の破産で法人の借金は消滅しますが、経営者個人への影響はそこで終わりではありません。負担が残る部分と制度によって守れる部分の両方を把握しておくことが、生活再建の第一歩です。
会社破産に伴う経営者個人の今後について、押さえておきたいポイントは以下の4つです。
破産後に取れる行動を整理するために、それぞれの内容を確認していきましょう。
法人破産によって会社の法人格が消滅しても、代表者個人が結んだ連帯保証契約は別の債務として残ります。会社と経営者は法律上あくまで別人格であり、会社の借金が消えたからといって保証人の返済義務まで連動して消えるわけではありません。
連帯保証が付きやすい債務の代表例は以下のとおりです。
会社が破産手続きを終えると、債権者の請求先は法人から連帯保証人である経営者個人へ切り替わります。放置すれば訴訟や差押えに発展するリスクもあります。
会社を閉じた後の生活設計に直結する論点のため、法人手続きと並行して早めに方針を固めておきましょう。
連帯保証人が自己破産した場合の影響や対処法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
自己破産すると連帯保証人はどうなる?債務整理の影響と対処法を徹底解説
自己破産を検討している方にとって、もっとも気がかりなのが「連帯保証人への影響」で...
実務上、会社の破産と経営者個人の自己破産は同時に申し立てるケースが多くを占めます。連帯保証債務が残ったままでは経営者の生活再建が進まないため、両方をまとめて処理するのが合理的です。
裁判所から免責許可決定が出ると、連帯保証債務を含む借金の返済義務が原則として免除されます。同時申立ての場合、申立てから免責許可決定までの期間は6ヶ月〜1年程度が目安です。手続き中も給与の受け取りや日常生活に大きな制限はかかりません。
免責が認められないケース(免責不許可事由)としては、財産隠しやギャンブルによる浪費・偏頗弁済などが挙げられます。誠実に手続きを進めていれば、大半のケースで免責許可を受けられるでしょう。
自己破産の仕組みや免責のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
自己破産とは?借金をゼロにする仕組みと手続きの流れと注意点
借金の返済に追われ、「もう限界だ…」と一人で抱え込んでいませんか?自己破産は、決...
破産法では「自由財産」として、破産者が手元に残せる財産の範囲が定められています。具体的に残せるのは、99万円以下の現金と、生活に不可欠な家財道具です。
家具・衣類・寝具・調理器具・冷蔵庫・洗濯機といった日常生活の必需品は差押えが禁じられているため、破産管財人に引き渡す必要はありません。「自由財産の拡張」という制度を使えば、20万円を超える預貯金や退職金の一部も手元に残せる場合もあります。
一方、不動産・自動車・解約返戻金が20万円を超える生命保険などは原則として処分対象になります。家族の生活を守るためにも、何が残せて何が処分されるのかを弁護士と事前に整理しておきましょう。
自己破産で残る財産・処分される財産や生活への影響については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
自己破産による7つのデメリットとは?|生活への影響を解説
自己破産を検討されているとのこと、そのお気持ちよく分かります。借金からの解放は大...
経営者保証ガイドライン(中小企業の経営者保証を整理する民間ルール)を利用すれば、自己破産をせずに保証債務を整理できる場合があります。
この制度のもとでは、華美でない自宅や一定期間の生計費に相当する現金を手元に残すよう金融機関へ申し出ることが認められています。早期に廃業手続きへ着手するほど保有資産の目減りを防げるため、残せる財産が増える可能性も高まるでしょう。
ただし、適用にはいくつかの条件があります。
すべての経営者が使える制度ではありません。金融機関や経営改善支援センターへ早めに相談し、自身のケースで適用の余地があるかを確認してください。
専門家プロファイルでは、税理士である平 仁さんが、経営者である父親の病気による会社の債務問題について回答しています。
| 質問 |
|---|
| はじめて利用させて頂きます。 父親が株式会社を経営しています。 従業員は数人で、ほとんどが親戚の者です。 取締役は父親一人で、株主も父親だけのはずです。 今月、父親が手術を受けたのですが容態が悪化し、 会社経営を行えるまでに回復するのはかなり厳しいと診断されました。 今も意識は戻っていません。 そこで会社の廃業をしようと思っていたのですが、 債務が1000万以上あることが判明しました。 また、自宅(ローン残り1000万相当)も抵当に入っています。 母親は経営には関わっておらず、専業主婦のため、 倒産という手段だけは選びたくないと思っています。 (自宅を残したいため) また、私を含め娘2人は他県にて結婚しており、 今は実家にいますがいずれは戻らなくてはなりません。 この場合、廃業するのは難しいのでしょうか。 会社の状態についてまだ確認している最中で、 情報があまりないのですが、 どなたがご助言頂けないでしょうか。 よろしくお願いいたします。 |
| 回答(要約) |
|---|
| お父様の会社の状況は、まず顧問税理士に相談するのが最善です。債務整理をして会社を解散するのが基本ですが、債務超過で自宅も抵当に入っている場合、銀行に自宅を処分される可能性が高いでしょう。解決策として、もしお父様が生命保険に加入していれば、その保険金で会社の債務を個人で引き継ぎ、返済を待ってもらう交渉をする方法が考えられます。また、家を残すために他の財産から現金を作れるか確認することも重要です。 |
会社の経営が悪化し、連帯保証人としてご自身の資産やご家族の生活まで脅かされる状況は、精神的にも非常に大きな負担となります。どうすれば良いかわからず一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
まずは専門家に相談し、現状を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。全国の弁護士・司法書士が対応しており、相談無料、初期費用0円で依頼できる事務所もあります。最適な解決策を見つける第一歩として、気軽に相談してみましょう。

廃業だけが唯一の道とは限りません。業界の動向や会社の財務状況、事業の将来性によっては、事業を存続させながら債務問題を解決する方法も残されています。
会社廃業以外に検討すべき手段は、以下のとおりです。
廃業を決断する前に各手段の条件を把握しておきましょう。
民事再生は、借金を減額したうえで事業活動を続けられる裁判所の手続きです。破産と異なり、経営者が経営権を手放す必要がなく、従業員の雇用や取引先との関係も維持したまま再建を目指せます。
手続きの流れは、再生計画案の作成から始まり、債権者集会での審議を経て裁判所が認可する形で進みます。認可後は原則3年、最長5年の分割返済で債務を完済する仕組みです。
ただし認可を得るには債権者の同意と裁判所の認可決定という2つの関門を越えなければなりません。事業継続の見込みがあり、破産した場合よりも債権者に有利な返済が見込めると判断されて初めて認められる手続きです。
税金や社会保険料は減額の対象外となる点にも注意が必要です。再建の意思があるなら、資金繰りが行き詰まる前に動きましょう。
なお、民事再生で法人の債務を圧縮しても、経営者個人の連帯保証債務は別途整理が必要です。個人再生を活用した債務整理については、以下の記事で詳しく解説しています。
個人再生で失敗した体験談と確実に成功するためのコツを紹介!
借金問題に悩んでいる皆さん、個人再生で失敗せず、前向きに解決する方法を知りたくあ...
事業譲渡とは、会社が持つ特定の事業を他社へ売却する手法です。株式譲渡と異なり負債は原則として買い手に引き継がれないため、売却で得た対価を借金の返済に充てる流れになります。
会社そのものは存続するため、廃業とは根本的に異なります。事業譲渡を選ぶメリットは、経営者だけでなく周囲への影響が小さい点です。
一方で、債務超過が深刻な企業ほど買い手の確保は難しく、交渉が長期化するケースも珍しくありません。売却益だけでは全額返済に届かない場合は、残った債務について特別清算や破産を併用する場面も出てきます。
「事業譲渡さえすれば借金がすべて片付く」わけではない点は、あらかじめ理解しておいてください。
M&A(合併・買収)は、会社の独自技術や株式を第三者へ売却し、経営権そのものを譲渡する手法です。廃業のように会社を消滅させるのではなく、買い手企業がそのまま事業を引き継ぐため、従業員の雇用や取引先との関係を維持しやすいでしょう。
株式譲渡の場合、会社が抱える負債も原則として買い手側が承継します。経営者個人の連帯保証についても、株式譲渡契約書に保証解除を条件として明記し、金融機関と交渉を進める流れが一般的です。
保証が外れれば、経営者は借金の重圧から解放されたうえで売却益を手にできます。
ただし、買い手探索から譲渡実行までに数ヶ月から1年以上かかるケースも珍しくありません。赤字や債務超過の企業は買い手が見つかりにくく、企業価値の評価にも時間を要します。
中小企業向けのM&A仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターへ早めに相談し、検討できる手段を広げておくのがおすすめです。
資金繰りが完全に行き詰まってからでは、廃業以外の方法はほぼ残りません。債務超過が深まるほど民事再生の認可は難しくなり、事業の買い手も見つかりにくくなるためです。
決断前でも相談だけは進められます。以下のような兆候があれば、早めに専門家へ声をかけてみてください。
相談先は状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
| 相談先 | 対応内容 |
|---|---|
| 弁護士 | 法人破産や民事再生など法的手続きの判断と実行 |
| 事業承継の専門家 | M&Aや事業譲渡による廃業回避の検討 |
| 税理士 | 清算時の税務処理や解散確定申告への対応 |
早い段階で相談すれば、廃業・再生・売却のどれが自社に合うかを比較したうえで判断できます。動けるうちに複数の方法を広げておくことが、経営者自身と周囲を守る行動につながります。
迷ったらまず弁護士への無料相談から始めてみてください。
専門家プロファイルでは、不動産コンサルタントでFPでもある野口 豊一さんが、父親の会社が倒産しそうだというご家族からの相談に回答しています。
| 質問 |
|---|
| どこに質問していいのかわからないのでどなたか教えてください。 父の経営する建設業(従業員は父親の兄弟など身内のみ)が再来月あたりに不渡りを出してしまいそうです。 仕事が全然ないわけではなく今も工事を行っている状況ですが 夏頃に引き当てで借りていた金が返せる見込みがありません。 他の従業員等には一切知らせてませんが、両親は自分名義で借りた金をかなり会社に入れています。 両親ともに倒産等の知識がほとんどないため、倒産→自己破産のような事になると頭を悩ませています。 会社が倒産に至った場合、会社の借金は代表取締役である父や取締役になっている父の兄弟のものになるのでしょうか? 父は兄弟たちに迷惑をかけたくないと言っていますが、実際父にはもう貯金等がほとんどなく 兄弟たちはそのような現状を知らない事もあり、貯金があると思われます。 このような場合、兄弟の貯金等が押さえられる事になってしまうのでしょうか? また、個人の借金だと任意整理や個人再生等もあるようです(私も詳しくはわかっていません)が 会社の借金の場合にも倒産→破産などをさけるような手段があるのでしょうか? |
| 回答(要約) |
|---|
| 取締役であるご兄弟に経営状況を知らせていないのは大きな問題です。取締役は連帯して経営責任を負うため、すぐに状況を説明し協力を仰ぐべきです。代表者であるお父様は個人保証をしている可能性が高く、その場合は個人財産も返済に充てる必要があります。もし会社を再生する意欲と見通しがあるなら、民事再生という法的措置も検討できます。2回の不渡りを出すと破産に至るため、悲惨な状況を避けるためにも早急な対策が不可欠です。 |
引用:専門家プロファイル|父の経営する建設業が倒産しそうです。
会社の将来や従業員、ご家族のことを考えると、廃業という決断は非常に重いものですよね。しかし専門家に相談すれば、民事再生や事業譲渡など事業を続けながら問題を解決できる道が見つかるかもしれません。
当サイトでは、全国の弁護士・司法書士へ無料で相談が可能です。初期費用0円で対応してくれる事務所も多いので、手遅れになる前に、まずは外部の専門家の意見を聞いてみませんか。

本記事では、会社廃業で借金がどうなるのか、法人破産の手続きや経営者個人への影響について解説しました。法人破産によって会社の債務は消滅しますが、経営者が連帯保証人になっている場合は個人に返済義務が残ります。
自由財産として99万円以下の現金や家財道具は手元に残せ、経営者保証ガイドラインを活用すれば自宅や生活資金を守れる可能性もあります。判断が遅れるほど選べる方法は狭まるため、資金繰りに不安を感じた段階で弁護士へ相談することが大切です。
M&A・事業譲渡・民事再生など廃業以外の道が残っている場合もあるので、早い段階で専門家の力を借りて最善の一手を判断しましょう。
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